訪問診療を受けられる条件とは?通院が困難になったら知っておきたい対象者の基準を医師が解説します!
- 2026年8月5日
- 訪問診療
「まだ歩けるから」と我慢し、通院のたびに心身の負担を感じていませんか。ご本人の通院準備や移動、ご家族の付き添いが大きな負担となり、通院だけで1日が終わってしまうことも少なくありません。
この記事では、訪問診療の対象となる方の具体的な基準を、身体的な理由や認知症などのケース別に詳しく解説します。ご自宅で受けられる医療サービスの内容から、お申し込みまでの具体的な流れも紹介します。
最後まで読むことで、ご自身やご家族が対象になるかどうかがわかります。通院の負担を減らし、住み慣れた家で安心して療養を続けるための、次の一歩としていただけますと幸いです。
訪問診療の対象となる方【通院困難の基準をチェック】
訪問診療は、「病気やケガで病院に通うのが難しくなった方」であれば、年齢や要介護認定の有無にかかわらず、どなたでも受けられる可能性があります。
「通院が困難」と聞くと、寝たきりの状態を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際には「まだ歩けるから」と我慢されている方の中にこそ、訪問診療を必要としているケースが多くあります。
ご自身での通院が難しい、あるいはご家族が付き添うにしても負担が大きいと感じ始めたら、それは訪問診療を検討する大切なサインです。医師が医学的に必要だと判断すれば、健康保険を使って利用できます。

身体的な理由で通院が難しい方(寝たきり・歩行困難など)
病気やケガ、加齢によって、ご自身の力で外出したり、公共交通機関を利用したりすることが難しくなった方は、訪問診療の対象となります。
通院という一大イベントのために、丸一日かかってしまい、翌日は疲れ果てて寝込んでしまう…、そんな経験はありませんか?以下のような状態に当てはまる方は、お気軽にご相談ください。
- 移動が難しい・介助が必要
- 脳梗塞や骨折の後遺症で歩行が困難
- 杖や歩行器、車いすを常時利用している
- ベッドから起き上がったり、車いすに移ったりするのに手助けが必要
- 体力の低下や症状による外出困難
- 少し動くだけで息切れや強いだるさを感じる(心臓・肺の病気、重度の貧血など)
- めまいやふらつきがあり、転倒する不安が強い
- 糖尿病の合併症(足のしびれや痛み、視力低下)で外出が怖い
通院のための準備や移動、長い待ち時間が身体に大きな負担となり、かえって体調を悪化させてしまうのは本末転倒です。ご自宅で安心して医療を受けることで、心身の負担が軽くなり、治療そのものに前向きになれる方も少なくありません。
認知症や精神疾患により外出や待ち時間が困難な方
身体的には歩くことができても、認知症や精神疾患の影響で通院が極めて困難になっている方も、訪問診療の対象です。
ご本人が嫌がるのを無理に連れて行くことへの心苦しさや、周囲への気遣いで、ご家族が疲弊してしまうケースも多く見られます。「うちだけが大変なのでは…」と抱え込まないでください。
- 慣れない場所へ行くと混乱し、落ち着かなくなってしまう
- 病院の待合室など、人が多い場所で長時間待つことに強い苦痛を感じる
- 認知症の症状(見当識障害など)で、場所や時間がわからなくなり不安が強まる
- うつ病や不安障害などで、外出すること自体に強い抵抗感や恐怖心がある
このような場合、無理に通院を続けるよりも、住み慣れた安心できる環境で診察を受けることが、ご本人の苦痛を和らげ、症状の安定につながります。ご家族の「毎回が戦い」のような通院介助の負担を軽くするためにも、訪問診療は有効な選択肢です。
がん末期や難病などでご自宅での療養を希望される方
がんの終末期や進行性の難病などを抱え、「入院ではなく、最期まで住み慣れた我が家で過ごしたい」と強く希望される方。そのお気持ちに寄り添い、穏やかな療養生活を医療面から支えるのも、訪問診療の重要な役割です。
病院と同じように、ご自宅で以下のような専門的なケアを受けられます。
- つらい症状を和らげる緩和ケア
- 痛みや息苦しさ、吐き気、だるさといった身体的な苦痛のコントロール
- 眠れない、気分が落ち込むといった精神的な不安へのケア
- 専門的な医療処置・管理
- 点滴や在宅酸素療法、胃ろう、中心静脈栄養などの管理
- 床ずれ(褥瘡)の専門的な処置や予防
- ご家族へのサポート
- 介護方法に関するアドバイス
- ご家族自身の精神的な不安や悩みの傾聴
医師や看護師がチームとなり、ご本人とご家族を支えます。ご自宅での看取り(在宅看取り)も含め、その人らしい尊厳ある時間を最後まで過ごせるよう、全力でサポートいたします。
訪問診療で受けられる医療サービス
訪問診療は、クリニックの外来診療と近い医療を、住み慣れたご自宅や施設で受けられるサービスです。
通院することなく、定期的な診察から血液検査、点滴、専門的な医療処置など幅広く対応できます。
「もし夜中に容態が急変したら…」というご不安にも、当院は24時間365日体制で対応します。電話でのご相談はもちろん、必要に応じて緊急往診も行い、皆さまの穏やかな療養生活を支えます。

ご自宅で受けられる診察・検査・処置の内容
医師が定期的にご自宅へ伺い、診察から検査、専門的な処置まで、患者さん一人ひとりの状態に合わせた医療を提供します。
ご自宅で対応できる医療行為には、具体的に以下のようなものがあります。
| 分類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 定期的な診察・ 健康管理 |
・血圧、脈拍、体温、酸素飽和度の測定 ・聴診や触診による体調のチェック ・療養生活に関するご相談やアドバイス |
| 検査 | ・血液検査、尿検査 ・心電図検査など |
| 処置・治療 | ・点滴や注射 ・床ずれ(褥瘡)の処置や予防ケア ・傷の縫合や消毒 |
| 専門的な管理・ ケア |
・糖尿病や甲状腺疾患、高血圧などの慢性疾患管理 ・インスリン注射や自己血糖測定の指導 ・在宅酸素療法、胃ろう、気管切開、人工肛門(ストーマ)などの管理 ・がんの痛みや苦痛を和らげる緩和ケア、ご自宅での看取り |
特に、糖尿病や甲状腺疾患は専門的な管理が欠かせません。当院は専門医が訪問するため、インスリン量の細かな調整や、採血が不要な持続血糖測定器(リブレ)を用いた血糖コントロールも、ご自宅にいながら専門的な視点で進めることができます。
お薬の処方と受け取り方法(薬局との連携)
訪問診療で処方されたお薬は、ご自宅や施設にいながら受け取ることが可能です。通院だけでなく、薬局へ行くのが難しい方でも、お薬が途切れる心配はありません。
お薬の受け取り方は、主に2つの方法からお選びいただけます。
-
ご家族がかかりつけ薬局で受け取る
医師が発行した処方箋を、ご家族が普段利用されている薬局へお持ちいただき、お薬を受け取る方法です。 -
薬剤師に自宅まで届けてもらう
「在宅訪問」に対応している薬局の薬剤師が、ご自宅まで直接お薬をお届けする方法です。この場合、単にお薬を届けるだけではありません。- お薬の効果や飲み方をその場で詳しく説明
- 飲み忘れを防ぐため「お薬カレンダー」へのセット
- 複数の病院から処方された薬の整理や飲み合わせの確認(ポリファーマシー対策)
- 副作用が出ていないかのチェック
など、お薬に関する専門的なサポートも合わせて受けられます。
どの薬局に依頼すれば良いかわからない場合もご安心ください。当院では在宅医療に力を入れている地域の薬局と緊密に連携しており、患者さんの状況に合った薬局をご紹介いたします。
世田谷区・調布市・三鷹市などにお住まいの方で訪問診療を始めるまでの具体的な流れ
訪問診療の開始は、決して難しい手続きではありません。ご本人やご家族の状況に合わせて、いくつかの窓口にご相談いただくことから始まります。
「そろそろ訪問診療が必要かもしれない」と感じたとき、どこに、誰に相談すればよいのか。具体的な相談先から、当院での診療開始までのステップをわかりやすく解説します。

まずはどこに相談すべきか(かかりつけ医・ケアマネジャー・地域包括支援センター)
訪問診療を始めるための最初の相談窓口は、主に4つあります。ご自身の現在の状況に合わせて、最も相談しやすい場所へご連絡ください。
どの窓口も、皆さまが在宅で安心して療養生活を送れるようサポートするための専門機関です。
| 現在の状況 | 主な相談先 | 相談できること |
|---|---|---|
| 入院中の方 | 病院の「地域連携室」や 「退院支援・相談窓口」 |
・退院後の生活を見据えた医療・介護の調整 ・ご自宅の近くで対応可能な訪問診療クリニックの紹介 |
| 介護サービスを利用中の方 | 担当のケアマネジャー | ・日頃の心身の状態を踏まえた、訪問診療の必要性の判断 ・ご本人やご家族の希望に合うクリニックとの連携・調整 |
| かかりつけ医がいる方 | いつものかかりつけ医 | ・現在の病状から、訪問診療への切り替えが適切かどうかの医学的な判断 ・訪問診療クリニックへの紹介状(診療情報提供書)の作成 |
| どこに相談すればよいか わからない方 |
お住まいの地域の 「地域包括支援センター」 |
・介護や医療に関するあらゆる相談の「最初の総合窓口」 ・状況を整理し、適切な専門機関やサービスにつなぐお手伝い |
「こんなことで相談していいのかな?」とためらう必要はありません。まずは第一歩として、お気持ちや困りごとをお話しいただくことが、より良い療養生活へのスタートラインとなります。
お申し込みから初回訪問までの4ステップ
お問い合わせから実際の訪問診療開始までは、主に4つのステップで進みます。ご本人とご家族が納得し、安心して在宅療養を始められるよう、一つひとつ丁寧に進めていきますのでご安心ください。
Step1:ご相談・お問い合わせ
まずはお電話にてご連絡ください。
ご本人さまはもちろん、ご家族やケアマネジャーの方など、どなたからでも構いません。現在の病状や、療養生活でのお困りごと、ご希望などを簡単にお聞かせください。
Step2:事前面談
当院の相談員が詳しいお話を伺います。
これは、今後の診療計画を立てるための非常に大切な時間です。ご不安なこと、譲れないご希望、生活で大切にしたいことなど、どんなことでも気兼ねなくお話しください。
訪問診療の具体的な内容や費用についてご説明し、健康保険証や介護保険証などを確認させていただきます。
Step3:ご契約・準備
ご提案した診療計画や費用にご納得いただけましたら、訪問診療の利用契約を行います。
同時に、夜間や休日など、緊急時の連絡方法や対応の流れについてもしっかりとご説明し、万が一の時に備えます。
Step4:訪問診療の開始
計画に沿って、医師が定期的にご自宅へ訪問し、診療を開始します。
原則として月2回以上の訪問で、きめ細かく健康状態を管理していきます。ここから、医師や看護師が「通院」の代わりとなる医療パートナーとして、皆さまの穏やかな療養生活をチームで支えます。
ご家族の「通院介助の負担」や「もしもの時の不安」を軽減するために
訪問診療は、患者さんご本人の負担を軽くするだけではありません。そばで支えるご家族の、目には見えないさまざまな負担をも大きく軽減できます。
ご家族だけで悩みを抱え込まず、ぜひ私たち医療チームを頼ってください。
-
「通院」という一大イベントからの解放
通院のためにご家族が仕事を休んだり、1日がかりで付き添ったりする必要がなくなります。悪天候の日の移動や、病院での長い待ち時間といった心身の負担から解放されることは、ご家族自身の生活にゆとりを生み出します。 -
「もしも」の時に頼れる安心感
当院は24時間365日、緊急時の連絡に対応できる体制を整えています。「夜中に急に熱が出た」「いつもと様子が違う」といった不安な時でも、まずは電話で専門家に相談できます。必要に応じて医師がご自宅へ駆けつけるこの体制は、ご家族にとって何よりの精神的なお守りとなるはずです。 -
情報共有で「一人で抱え込まない」介護へ
診察時のご本人の様子や体調の変化は、医師や看護師から定期的にご家族へご報告します。遠方にお住まいのご家族にも、お電話などで状況をお伝えできます。医師・看護師・ケアマネジャーがチームで情報を共有し、ご家族が医療や介護の手配を一人で抱え込むことのないよう、しっかりとサポートします。
まとめ
訪問診療は、病気やケガで通院が困難になった方であれば、年齢や要介護認定に関わらず利用できる可能性があります。
身体的な理由のほか、認知症で外出が難しい場合や、住み慣れた家で療養したいと望む方も対象です。ご自宅で専門的な医療ケアや薬の処方を受けられるため、ご本人とご家族の負担を大きく軽減します。
通院に少しでも負担を感じ始めたら、それは訪問診療を検討するサインかもしれません。一人で抱え込まず、まずはかかりつけ医やケアマネジャーへ気軽に相談してみてください。