「おやつ」がやめられない方へ。血糖値を急上昇させない「間食」のルール|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

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医療コラム

「おやつ」がやめられない方へ。血糖値を急上昇させない「間食」のルール|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

「おやつ」がやめられない方へ。血糖値を急上昇させない「間食」のルール

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「甘いものがやめられない」「食後なのに、なぜかすぐお腹が空く」。その止められない食欲を、ご自身の意志の弱さのせいだと責めていませんか?実はその衝動、体内で起きている「血糖値のジェットコースター」や、気づかぬうちの栄養不足、ストレスが引き起こす「偽の空腹感」が原因かもしれません。

この記事では専門医が、食欲を操る科学的なメカニズムを徹底解説します。間食を我慢の対象ではなく、血糖値を安定させる「賢い味方」に変える具体的なルールを知ることで、つらい食欲のループから抜け出すことを目指しましょう。ご自身の身体のサインを正しく理解し、今日からできる新しい習慣を始めましょう。

なぜあなたの「おやつ」は止まらないのか 3つの根本原因

「甘いものがどうしてもやめられない」「食後なのに、すぐにお腹が空いてしまう」。 こうしたお悩みで、ご自身を責めてしまっている方も多いのではないでしょうか。

しかし、その食欲は決してあなたの意志が弱いせいではありません。 実は、身体の中で起きている血糖値の変動や、日々の生活習慣が大きく影響しています。 まずはご自身の身体のサインを正しく理解することが、つらい食欲のループから抜け出すための大切な第一歩です。

これから、おやつへの強い欲求を生み出す3つの根本的な原因について、専門医の視点から詳しく解説していきます。

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原因1 血糖値の乱高下が引き起こす「偽の空腹感」

甘いお菓子や菓子パン、清涼飲料水など、精製された糖質が多いものを食べると、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が急激に上昇します。 この状態を「血糖値スパイク」と呼びます。

すると、私たちの身体は血糖値を正常範囲に戻そうと、すい臓から「インスリン」というホルモンを大量に分泌します。 インスリンが過剰に分泌されると、今度は血糖値が急降下し、必要以上に低い状態(反応性低血糖)に陥ることがあります。

この血糖値のジェットコースターのような激しい変動が、「偽の空腹感」の正体です。 脳は血糖値の急降下を「生命の危機的なエネルギー不足」と勘違いします。 そのため、実際には身体にエネルギーが足りていても、「すぐに何か食べなさい」と強い指令を出してしまうのです。

特に、脳は手っ取り早くエネルギーになる糖質を強く求めるため、また甘いものが欲しくなるという悪循環に陥ります。

血糖値スパイクが招く「偽の空腹感」の悪循環

  1. 糖質の多い間食  クッキーやチョコレート、ジュースなどを摂取します。
  2. 血糖値の急上昇(血糖値スパイク)  食後、血糖値が正常範囲を超えて一気に上がります。
  3. インスリンの過剰分泌  すい臓が慌てて大量のインスリンを出し、血糖値を下げようとします。
  4. 血糖値の急降下(反応性低血糖)  インスリンが効きすぎて、今度は血糖値が下がりすぎてしまいます。
  5. 強い空腹感と糖質への渇望  脳がエネルギー不足と誤認し、再び甘いものを強く欲します。

このサイクルを繰り返すことは、すい臓に大きな負担をかけ続け、将来的に糖尿病を発症するリスクを高めることにも繋がります。

原因2 タンパク質と食物繊維の不足が招く食欲

毎日の食事内容も、間食への欲求に大きく影響します。 特に糖尿病専門医として注目していただきたいのが「タンパク質」と「食物繊維」です。 これらの栄養素が不足すると、食後の満足感が得られにくく、すぐに空腹を感じる原因になります。

タンパク質は、肉や魚、卵、大豆製品に多く含まれます。 消化・吸収に時間がかかるため、満腹感を持続させる効果が非常に高い栄養素です。 また、食欲を抑えるホルモンの分泌を促す働きもあります。

食物繊維は、野菜やきのこ、海藻などに豊富に含まれています。 胃の中で水分を吸って膨らむことで物理的な満足感を与えてくれます。 さらに、糖の吸収を穏やかにして、食後の血糖値スパイクを抑えるという非常に大切な役割を担っています。

ご飯やパン、麺類といった糖質中心の食事に偏っていないか、一度振り返ってみましょう。

食事で意識したい栄養素と食品例

  • タンパク質  腹持ちを良くし、筋肉を維持する大切な材料です。  (例)鶏むね肉、さば、あじ、卵、豆腐、納豆、無糖ヨーグルト
  • 食物繊維  血糖値の上昇を緩やかにし、腸内環境も整えます。  (例)ブロッコリー、ほうれん草、きのこ類、わかめ、ごぼう、ナッツ類

これらの栄養素を意識したバランスの良い食事は、不必要な間食を防ぐための強固な土台となります。

原因3 ストレスや習慣が作る「条件反射的」な食行動

おやつに手が伸びる原因は、身体的な要因だけではありません。 ストレスや睡眠、日々の習慣といった心理的・生活習慣的な要因も深く関わっています。

私たちは強いストレスを感じると、「コルチゾール」というホルモンを分泌します。 このホルモンには食欲を増進させる働きがあり、特に高脂肪・高糖質なものを欲しやすくなることが科学的に知られています。 仕事のプレッシャーや人間関係の悩みから、つい甘いものに手が伸びるのは、身体の正常な防衛反応とも言えるのです。

また、「食後のデザート」「仕事の合間のコーヒーとチョコ」といった行動が繰り返されるうちに、脳が「特定の状況=おやつ」と学習します。 その結果、お腹が空いていなくても無意識に食べてしまう「条件反射的な食行動」が形成されてしまいます。

近年の研究では、食事、身体活動、そして「睡眠」という3つの生活習慣が、24時間周期の中で密接に関連し、私たちの健康に影響を与えていることがわかってきています。 特に、睡眠不足は見過ごされがちな大きな原因です。 睡眠が不足すると、食欲を高めるホルモン(グレリン)が増加し、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減少することが明らかになっています。 これにより、日中の食欲コントロールが非常に難しくなってしまうのです。

ご自身の食行動がどんな時に起こりやすいのか、一度客観的に振り返ってみましょう。

あなたの「食べる引き金」をチェックしてみましょう

  • □ イライラしたり、落ち込んだりすると食べたくなる
  • □ 仕事や家事の合間に、口寂しさから何かをつまむ
  • □ テレビやスマートフォンを見ながら、無意識に食べている
  • □ 毎日の睡眠時間が6時間未満である
  • □ 夜中に目が覚めることがよくある

これらの「引き金」に気づくことが、ご自身の食行動をコントロールするための第一歩になります。 一人で抱え込まず、一緒に解決策を探していきましょう。

間食を「悪」から「血糖値を安定させる味方」に変える新常識

糖尿病の食事療法において、「間食は絶対にしてはいけない」と考えていませんか。 甘いものやスナック菓子への欲求を抑えられず、罪悪感を抱えている方も多いかもしれません。

しかし、その考え方を今日から少し変えてみませんか。 実は、間食は血糖コントロールの「敵」ではなく、選び方やタイミングを工夫することで「頼れる味方」になり得るのです。 ここでは、間食を上手に活用して、血糖値を安定させるための新しい常識を、専門医の立場から一緒に学んでいきましょう。

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「空腹を我慢しない」が血糖コントロールの鍵

「お腹が空いたら次の食事までひたすら我慢する」。 これは一見、血糖値を管理する上で正しい行動のように思えます。 しかし、実際には逆効果となり、血糖コントロールをかえって難しくしてしまうことがあります。

極度の空腹状態が長く続くと、次の食事で早食いや「ドカ食い」をしてしまいがちです。 その結果、食後の血糖値が急激に上昇する「血糖値スパイク」を引き起こしてしまいます。 前の章で解説した「偽の空腹感」のサイクルを、自ら作り出してしまうことになるのです。

強い空腹を我慢し続けることには、以下のようなデメリットが伴います。

  • 反動による過食  我慢の反動で食事量が増え、血糖値が急上昇しやすくなります。  すい臓に大きな負担をかけることにも繋がります。
  • 低血糖のリスク  特にインスリン注射や一部の飲み薬で治療中の方は、食事の間隔が空きすぎると低血糖を起こす危険性が高まります。  冷や汗や動悸、強い空腹感などの症状は危険なサインです。
  • 集中力の低下や気分の不安定  血糖値が下がりすぎると、脳のエネルギーが不足します。  その結果、仕事や家事に集中できなくなったり、イライラしやすくなったりします。

血糖コントロールで大切なのは、「厳しい我慢」ではなく「賢い管理」です。 食事と食事の間に、血糖値を上げにくい間食を計画的に少量摂ることをお勧めします。 これにより強い空腹感を予防し、次の食事を落ち着いて適量食べられるようになります。 1日を通した血糖値の波を小さくし、安定したコントロールを目指しやすくなります。

3食では足りない栄養素を「補食」で補う賢い選択

糖尿病の食事療法では、糖質の管理に意識が集中しがちです。 しかし、健康な体を維持するために不可欠なタンパク質や食物繊維、ビタミン、ミネラルが不足してしまうケースも少なくありません。

そこで、間食を単なる「おやつ」ではなく、3食で補いきれない栄養素を補給する「補食」と捉えることが非常に重要になります。 例えば、以下のような栄養素を意識して補食を選んでみましょう。

  • 食物繊維  糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を抑える働きがあります。  (例)ナッツ類、煎り大豆、おからクッキー、蒸し野菜
  • タンパク質  満腹感を持続させ、筋肉量を維持するためにも不可欠です。  (例)無糖ヨーグルト、チーズ、ゆで卵、豆乳
  • 良質な脂質  オメガ3脂肪酸など、体の炎症を抑える働きも期待できます。  (例)くるみ、アーモンド、さば缶、アボカド

また、近年の研究では、特定の食品成分が健康維持に役立つ可能性も示されています。 例えば、ターメリック(ウコン)に含まれるクルクミンという成分のメタ分析(複数の研究結果を統合した分析)があります。 これによると、糖尿病の方がクルクミンを補給することで、収縮期血圧(いわゆる上の血圧)がわずかに低下する可能性が報告されています。 間食にスパイスを活用し、砂糖を使わないターメリックラテなどを取り入れるのも良いでしょう。

さらに、腸内環境を整えることも血糖管理に繋がることがわかってきています。 ある研究では、特定のプロバイオティクス(体に良い働きをする善玉菌)を摂取したグループで、血糖コントロールの長期的な指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の改善が見られました。 HbA1cは過去1〜2ヶ月の血糖値の平均点を表す数値です。 間食に無糖のヨーグルトなどを選ぶことは、こうした観点からも賢明な選択と言えます。

食後の血糖値スパイクを抑える戦略的タイミング

間食を味方につけるには、「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」というタイミングが極めて重要です。 タイミングを間違えれば、かえって血糖値を乱す原因にもなりかねません。 血糖コントロールを安定させるための、戦略的な間食のタイミングをぜひ知っておきましょう。

おすすめのタイミング

  • 食後2〜3時間後  食事で上がった血糖値が下がり始め、小腹が空いてくる頃です。  このタイミングで血糖値を上げにくい間食を摂ることで、次の食事までの血糖値の急降下と、その反動による過食を防ぎます。
  • 運動の前  これから体を動かすというタイミングでの補食は、活動のエネルギー源として効率よく消費されます。  また、運動による低血糖の予防にも繋がります。

注意したいタイミング

  • 食後すぐ  食事によって血糖値が上昇している真っ最中に間食を摂ると、血糖値スパイクをさらに高く、長くしてしまう可能性があります。
  • 就寝直前  夜間は日中に比べてエネルギー消費が少なくなります。  そのため、摂取したカロリーが消費されにくく、血糖値が高い状態で朝を迎える原因となります。

ご自身の血糖値の動きをより詳しく知るために、血糖自己測定(SMBG)や、24時間の血糖変動がわかる持続血糖測定(CGM)を活用するのも非常に有効です。 ご自身の体のリズムを客観的に把握し、最適な間食のタイミングを見つけていきましょう。

薬の効果を最大化するための間食の選び方

糖尿病の治療で飲み薬やインスリン注射を使用している方は、間食とお薬の関係を正しく理解しておくことが特に重要です。 お薬の種類によっては、食事や間食のタイミングが薬の効果に大きく影響し、低血糖という危険な状態を招くことがあるからです。

お薬の種類と間食のポイント

薬の種類(例) 特徴と間食の注意点
SU薬など
(インスリン分泌を促す薬)
薬の効果でインスリンが出続けるため、食事を抜いたり、食事量が少ないと低血糖を起こしやすいです。食事の間隔が空く場合は、計画的な補食が必要になることがあります。
インスリン注射 注射の種類や量、タイミングに合わせて食事や補食の量を調整する必要があります。自己判断で間食の内容や時間を変えることは絶対に避けてください。

ここで最も大切なのは、低血糖時に緊急で摂るブドウ糖やジュースなどの「補食」と、血糖コントロールを安定させるための計画的な「間食」は、目的が全く異なるということです。

薬物療法を行っている方は、間食の内容や量、タイミングについて、自己判断せずに必ず主治医や管理栄養士に相談してください。 ご自身の治療計画に合った方法を一緒に見つけることが、安全で効果的な血糖コントロールのために重要です。

もしおやつを食べ過ぎてしまった時の具体的リカバリープラン

糖尿病の食事管理は、毎日完璧に続けるのが難しいこともあります。 つい甘いものに手が伸びて食べ過ぎてしまい、後から強い罪悪感に苛まれる…そんな経験は、決してあなただけではありません。

大切なのは、一度の失敗で「もうダメだ」と投げ出さないことです。 そして、食べ過ぎてしまった後にどうすれば良いか、正しい知識を持って冷静に対処することです。 ここでは、万が一おやつを摂りすぎてしまった時にご自身でできる、具体的で効果的なリカバリープランを専門医の視点から解説します。

この機会を、ご自身の生活習慣と前向きに向き合うための大切な一歩にしていきましょう。

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血糖値上昇を緩やかにする直後の「5分間ウォーキング」

糖質の多いおやつを食べてしまった後に特に効果的なのは、体を動かすことです。 特におすすめしたいのが、食後15分から30分以内に行う「5分間のウォーキング」です。

なぜ食後の運動が有効なのでしょうか。 食事で摂取した糖は、血液中に入り全身を巡ります。 この時、運動をして筋肉を動かすと、筋肉細胞が血液中の糖をエネルギー源として積極的に取り込んでくれます。 これにより、血糖値が必要以上に高くなる「血糖値スパイク」を抑える効果が期待できるのです。

激しいトレーニングは必要ありません。 少し息が弾むくらいの、誰でもできる軽い運動で十分です。

今日からできる!食後のちょこっと運動例

  • 早歩きでウォーキング  景色を楽しみながら、いつもより少しだけ腕を大きく振って歩きましょう。
  • その場で足踏み  テレビを見ながらでも、CMの間だけ少し太ももを上げて足踏みをしてみます。
  • 階段の上り下り  エレベーターやエスカレーターを使わず、1フロア分だけでも階段を使ってみましょう。
  • かかと落とし  立ったままつま先立ちになり、ストンとかかとを落とす運動です。  場所を選ばず手軽にできます。

近年の研究では、私たちの健康は食事、身体活動、そして「睡眠」という3つの要素が24時間周期の中で密接に関連しあっていることがわかっています。 食べ過ぎてしまったという「食事」の出来事に対し、直後に「身体活動」を取り入れることは、まさにこの繋がりを意識した行動です。

一人ひとりの体質や生活リズムに合わせた健康管理を行う「プレシジョン・ヘルス(個別化医療)」という考え方においても、こうした日々の小さな工夫の積み重ねが非常に重要視されています。 無理のない範囲で、生活の中に短時間の運動を取り入れる習慣を一緒に作っていきましょう。

次の食事で調整する「野菜ファースト」と「たんぱく質増量」

食べ過ぎてしまった後のリカバリーとして、次の食事を抜いてしまう方がいますが、これは逆効果です。 食事を抜くと極度の空腹状態になり、その次の食事で早食いやドカ食いを引き起こし、かえって血糖値の乱高下を招きやすくなります。

大切なのは、「抜く」のではなく「内容を賢く調整する」ことです。 次の食事で意識したい具体的な工夫は、以下の2つです。

  1. 「野菜ファースト」を徹底する  食事の最初に、食物繊維が豊富な野菜やきのこ、海藻類をしっかり食べましょう。  食物繊維は、後から食べるご飯やパンといった炭水化物(糖質)の吸収を穏やかにして、食後の血糖値スパイクを緩やかにしてくれます。  胃の中でかさが増すため、満腹感を得やすくなる効果もあります。

    • おすすめのメニュー例  わかめと豆腐の味噌汁、ほうれん草のおひたし、きのこのソテー、温野菜サラダなど
  2. 「たんぱく質」を意識して増やす  魚、肉、卵、大豆製品などのたんぱく質をいつもより少し多めに摂りましょう。  たんぱく質は消化に時間がかかるため、満腹感を持続させやすく、次の間食を防ぐ助けになります。  また、血糖値の上昇を抑える働きのあるホルモンの分泌を促すとも言われています。

これらの工夫は、食べ過ぎてしまった分を調整するだけでなく、日々の血糖コントロールを安定させる上でも非常に有効な食事法です。

食べ過ぎてしまった罪悪感を和らげるためのメンタルケア

「またやってしまった…」という強い罪悪感は、それ自体がストレスになります。 ストレスを感じると、私たちの体は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。 このコルチゾールには食欲を増進させ、特に高糖質・高脂肪のものを欲しくさせる作用があるため、罪悪感が次の過食を引き起こすという悪循環に陥ってしまうのです。

大切なのは、自分を責めずに気持ちを上手にリセットすることです。 以下に、医師として推奨するメンタルケアの方法をご紹介します。

  • 事実と感情を切り離す  「おやつを食べ過ぎた」という事実は事実として冷静に受け止めます。  しかし、そこに「自分は意志が弱いダメな人間だ」という感情を結びつける必要はありません。  「次はこうしてみよう」と、未来の対策に意識を向けることが大切です。
  • 簡単な食事記録をつける  自分を責めるためではなく、客観的に自分の行動パターンを知るために記録をつけてみましょう。  「ストレスを感じた時に甘いものが欲しくなるな」「夕方になるとお腹が空きやすいな」といった気づきが、次の具体的な対策に繋がります。
  • 完璧主義をやめる  食事療法は100点満点を目指す必要はありません。  「8割くらいできれば上出来」という気持ちで、長期的に継続することが非常に重要です。  一度の失敗で全てが台無しになるわけではないので、安心してまた次の日から取り組んでいきましょう。

また、食べ過ぎた罪悪感から夜眠れなくなると、睡眠不足によって食欲を高めるホルモンが増加し、翌日の食欲コントロールがさらに難しくなります。 リカバリープランには、心を休めて質の良い睡眠をとることも含まれているのです。

家族や職場に理解を求める上手な伝え方

糖尿病の食事管理は、ご自身の努力だけでなく、周りの方の理解と協力があると、心の負担が軽くなり、より続けやすくなります。 しかし、病気のことや食事制限についてどう伝えれば良いか、悩む方も少なくありません。 相手との関係性を大切にしながら、上手に協力を得るための伝え方のポイントをご紹介します。

伝える際の基本姿勢

  • 「カミングアウト」ではなく「協力依頼」と考える  深刻に打ち明けるのではなく、「健康のために少し手伝ってほしい」というポジティブなスタンスで伝えましょう。
  • 具体的に、シンプルに伝える  「あれはダメ、これもダメ」と禁止事項を並べるのではなく、「こうしてくれると助かる」という具体的なリクエストを伝えましょう。

シーン別の伝え方例

相手 伝え方のポイントと具体例
家族 「今、血糖値を安定させるために食事を頑張っているんだ。お菓子を目のつく場所に置かないようにしてくれると、すごく助かるな」「外食の時は、お魚や野菜が多いお店を選んでくれると嬉しいな」
職場 必ずしも病名を伝える必要はありません。「健康診断で少し数値が気になって、食事に気をつけているんです」「お気持ちは嬉しいのですが、今甘いものを控えているので、またの機会にいただきますね」
友人 「最近、健康のために食生活を見直していて。もしお店を選ぶなら、和食屋さんだと嬉しいな」「飲み会は楽しみたいから参加するけど、お酒は一杯だけにしておくね」

一人で抱え込まず、信頼できる人に状況を話してみるだけでも、気持ちは楽になります。 周囲のサポートを上手に活用しながら、無理なく治療を続けていきましょう。

まとめ

今回は、おやつがやめられない根本的な原因と、間食を血糖コントロールの味方にするための具体的なルールについて詳しくご紹介しました。

甘いものが欲しくなるのは、決してあなたの意志が弱いからではありません。血糖値の変動や栄養バランス、ストレスなど、体の中で起きているサインなのです。 間食を「ダメなもの」と決めつけるのではなく、「補食」として上手に取り入れることで、つらい空腹感を防ぎ、血糖値の波を穏やかにすることができます。

もし食べ過ぎてしまっても、自分を責めないでくださいね。軽い運動や次の食事での調整など、できることから一つずつ試してみましょう。 この記事が、あなたがご自身の体と向き合い、無理なく間食と付き合っていくためのきっかけになれば幸いです。

参考文献

  1. Bahari H, Sharifi M, Nejad Shahrokh Abadi Z, Shahraki Jazinaki M, Golafrouz H, Asadi Z. Antihypertensive Effects of Curcumin/Turmeric Supplementation in Prediabetes and Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Controlled Trials. Endocrinology, diabetes & metabolism 9, no. 1 (2026): e70145.
  2. Bujaldón R, Montero E, Gamonal JD, Abuelo A, Marín MJ, Iniesta M, Sanz M, Herrera D. Use of the Probiotic Limosilactobacillus reuteri as an Adjunct to Subgingival Instrumentation in the Treatment of Periodontitis Patients With Diabetes: A Randomised Clinical Trial. Journal of clinical periodontology 53, no. 1 (2026): 26-36.
  3. 食事、身体活動、睡眠の評価:NIH資金提供による疫学研究における測定法のポートフォリオ・スコーピングレビュー

この記事を書いた人

医療法人社団健楓会 統括責任者

小澤 剛史

医療法人社団健楓会 理事長 小澤 剛史
資格
日本糖尿病学会糖尿病内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医 他
プロフィール
東京医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院糖尿病センターや地域中核病院にて、高度かつ総合的な内科・糖尿病診療の研鑽を積んできた。 現在はせたがや仙川クリニックの統括責任者として、薬物療法だけでなく食事や生活背景まで考慮し、「長く安心して通えるかかりつけ医」として地域医療を支えている。
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