「会議中にどうしても眠い…」それは気合不足ではありません。日中の眠気とSASの関係
- 2026年1月10日
- 睡眠時無呼吸症候群・SAS,生活習慣改善,生活習慣病
「気合が足りない」は誤解!眠気の正体を科学的に徹底解剖
会議中や運転中に襲ってくる、抗いがたいほどの強い眠気。 「また居眠りしてしまった」「気合が足りないだけだ」とご自身を責めたり、周りから誤解されたりして、辛い思いをされていませんか。
その耐え難い眠気は、決してあなたの意志が弱いからではありません。 もしかしたら、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気が原因で、身体が発しているSOSサインかもしれないのです。 ここでは、その眠気の正体を科学的に解き明かし、あなたが健やかな毎日を取り戻すためのお手伝いをさせていただければと思います。

睡眠の質を破壊する「無呼吸」と「低酸素」のメカニズム
SASによる眠気の根本には、「無呼吸」と「低酸素」という2つの深刻な問題が隠れています。 睡眠中に喉の空気の通り道(気道)が狭くなったり、完全に塞がったりすることで、10秒以上呼吸が止まる状態を「無呼吸」と呼びます。 この無呼吸が、一晩に何十回、重症な方では何百回と繰り返されるのです。
呼吸が止まると、当然ながら体内に取り込まれる酸素の量が減少し、「低酸素血症」という状態に陥ります。 これは血液中の酸素が不足した状態のことです。 特に脳は体重の約2%しかないにもかかわらず、身体が消費する酸素の約20%を必要とする、非常に多くの酸素を消費する臓器です。 そのため、この低酸素状態の影響を最も大きく受けてしまいます。
近年の研究では、SASによる慢性的な低酸素状態が、記憶を司る「海馬」などの脳の特定の領域にダメージを与え、萎縮を引き起こす可能性も指摘されています。 つまり、眠っている間に脳がダメージを受け続けている可能性があり、これが日中の集中力低下や強い眠気の直接的な原因となっているのです。
睡眠負債とは違う!SAS特有の断片化された睡眠構造
「毎日しっかり寝ているのに眠い」と感じる場合、単なる睡眠不足が積み重なった「睡眠負債」とは異なる問題を考える必要があります。 それが、SAS特有の「睡眠の断片化」です。
睡眠負債は睡眠時間の絶対的な不足が原因です。 一方SASの場合は、たとえベッドで8時間過ごしていても、睡眠の質が著しく低下していることが問題となります。 無呼吸によって体内の酸素濃度が下がると、脳は生命の危機を察知します。 そして呼吸を再開させるために、強制的に覚醒しようとします。
この覚醒はごく短時間のため本人は覚えていないことがほとんどですが、一晩に何度も繰り返されることで、睡眠が細切れ状態になってしまうのです。 その結果、心身の回復に不可欠な「深いノンレム睡眠」にほとんど到達できなくなります。
| 健康な方の睡眠 | SASの方の睡眠 | |
|---|---|---|
| 睡眠段階 | 深い睡眠と浅い睡眠が規則的な周期で現れる | 頻繁な覚醒により、深い睡眠が著しく減少・消失する |
| 睡眠の連続性 | 朝まで途切れることなく続く | 何度も中断され、睡眠が断片的になる |
| 脳と身体の休息 | 睡眠中に十分に休息・回復できる | 脳がほとんど休めず、疲労が蓄積していく |
このように、SASの方は睡眠が量的に足りていても、質的に極めて悪いため、深刻な睡眠不足状態に陥ってしまうのです。
脳が強制的に覚醒する「マイクロアローザル」の頻発
SASによる睡眠の断片化を引き起こす直接の原因が、「マイクロアローザル(微小覚醒)」です。 これは、呼吸が止まるたびに脳が強制的に起こされる、数秒から十数秒程度の非常に短い覚醒のことを指します。
ご本人が「夜中に目が覚めた」という自覚を持つことはほとんどありません。 しかし、睡眠中の脳波を調べてみると、はっきりと覚醒の波形が記録されます。 このマイクロアローザルが、深い睡眠への移行を妨げ、脳が休息モードに入るのを邪魔し続ける元凶なのです。
一晩に何度も繰り返される低酸素とマイクロアローザルは、脳の機能にも影響を及ぼします。 研究によれば、脳の様々な領域を結びつけ、私たちが考え事をしたり集中したりする際に働く「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という神経回路の連携を乱すことが分かっています。 このネットワーク機能の低下が、日中の注意力散漫や記憶力の低下といった認知機能障害に直接結びつくと考えられています。
交感神経の異常な興奮が日中の倦怠感を引き起こす仕組み
私たちの身体には、自律神経と呼ばれる2つの神経があります。 活動時に働く「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」です。
健康な状態では、夜間の睡眠中は副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスした状態になります。 しかし、SASの方の場合は全く逆のことが起こります。 無呼吸による低酸素状態は、身体にとって極度のストレスであり、生命の危機です。 そのため、脳は緊急事態と判断し、本来は休んでいるはずの夜間に、心拍数や血圧を上昇させる交感神経を何度も興奮させてしまいます。
この夜間の交感神経の異常な興奮は、高血圧の大きな原因の一つであることが、多くの研究で明らかになっています。 特に、薬を複数飲んでもなかなか血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」の患者さんの背景に、SASが隠れていることは少なくありません。 イタリアの調査では、難治性の高血圧患者さんの90%以上にSASが合併していたという報告もあるほどです。
また、糖尿病専門医の視点からは、血糖値への影響も非常に懸念されます。 交感神経の興奮は、血糖値を上昇させるホルモン(コルチゾールやアドレナリンなど)の分泌を促します。 これがインスリンの働きを妨げ、糖尿病の発症や悪化を招く一因となるのです。 夜通し身体が緊張・興奮状態にあるため、朝起きても疲労が全く取れず、日中の強い倦怠感やだるさとなって現れるのです。
あなただけじゃない!家族と職場を巻き込むSASの問題と対策
日中の耐え難い眠気や大きないびきは、ご自身の問題だけではありません。 睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、ご家族や職場の同僚など、あなたの周りの大切な人々にも大きな影響を及ぼす社会的な問題なのです。
パートナーは、あなたの大きないびきや突然止まる呼吸に不安を覚え、夜も安心して眠れていないかもしれません。 職場では、会議中の居眠りや集中力の低下が、「仕事への意欲が低い」という誤解を生んでいる可能性も否定できません。 しかし、これらは決してあなたの「気合不足」や「怠慢」が原因ではないのです。
実際に、SASを放置すると、個人の健康問題にとどまらず、社会全体に影響を及ぼすリスクが潜んでいます。 例えば、SAS患者さんの交通事故率は、健康な人と比べて約7倍にものぼるというデータがあります。 これは居眠り運転が、ご自身だけでなく多くの人の命を危険にさらすことを意味します。
また、睡眠の質の著しい低下は、心身の健康や生活の質(QOL)を大きく損なうことが研究で指摘されています。 SASは適切な治療で改善が見込める病気です。 周囲の理解と協力を得ながら、あなたらしい健やかな毎日を取り戻すため、前向きに治療に取り組んでいきましょう。

パートナーにどう伝える?受診を促すための上手な説得方法
パートナーの大きないびきや、呼吸が止まっている様子は、すぐ隣で眠る方にとって大きな不安の種です。 しかし、ご本人が問題を自覚していない場合、ただ受診を勧めても反発されてしまうかもしれません。 感情的に責めるのではなく、愛情と心配の気持ちを込めて、上手に伝えるための4つのステップをご紹介します。
ステップ1:客観的な事実と心配な気持ちをセットで伝える 「いびきがうるさい!」と感情的に伝えるのは避けましょう。 「昨日の夜、大きないびきの後に10秒以上も息が止まって見えて、本当に心配になったよ」というように、見たままの事実とあなたの素直な気持ちをセットで話すことが大切です。
ステップ2:具体的な健康リスクを冷静に伝える SASが、高血圧や糖尿病、心筋梗塞、脳卒中といった命に関わる病気のリスクを高めることを伝えます。 特に糖尿病との関連は深く、SASによる低酸素状態は血糖コントロールを悪化させます。 「あなたの健康が一番大切。これからもずっと元気に一緒にいたいから、一度検査を受けてほしい」と、将来を思う気持ちを添えてみてください。
ステップ3:治療による明るい未来を一緒に描く 「治療をすれば、昼間の眠気がなくなって仕事にもっと集中できるかもね」 「休日も疲れがとれて、一緒に出かけられる時間が増えるかもしれないよ」 このように、治療によって得られるポジティブな変化を具体的にイメージできるよう、一緒に話してみましょう。
ステップ4:「私も一緒に行く」と寄り添い、安心感を与える 一人で病院に行くのは誰でも心細いものです。 「心配だから、私も先生の説明を聞きに一緒に行くよ」と提案してみてください。 パートナーが隣にいるだけで安心でき、受診への心理的なハードルを大きく下げることができます。
「うるさいいびき」はSOSのサイン!家族ができる具体的なサポート
パートナーがSASの治療を始めたら、ご家族のサポートが回復への大きな力となります。 大きないびきは、単なる騒音ではなく、身体が発している危険信号(SOSサイン)です。 ご家族だからこそできる具体的なサポートで、ご本人が安心して治療を続けられる環境を整えていきましょう。
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睡眠中の様子の記録 スマートフォンなどで、いびきや無呼吸の様子を動画や音声で記録しておくと非常に有用です。 「何秒くらい呼吸が止まっているか」「いびきの音はどんな音か(ガーガー、グーグーなど)」を医師に伝えることで、診断の大きな助けになります。
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生活習慣改善のパートナーになる 減量や禁煙、節酒はSASの改善に有効ですが、一人で続けるのは困難です。 特に減量は、SASと糖尿病の両方に良い影響をもたらします。 健康的な食事を一緒に作ったり、ウォーキングに誘ったりと、二人三脚で楽しみながら取り組むことが長続きの秘訣です。
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治療への前向きな声かけ CPAP(シーパップ)療法などを始めた当初は、マスクへの違和感で挫折しそうになることもあります。 「毎日頑張っているね」「これで安心して眠れるようになって嬉しい」といった前向きな声かけが、治療を続ける大きなモチベーションになります。
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精神的な支えになる 近年の研究では、睡眠の質が改善されると、日中の心理的なストレスや抑うつ気分が軽減される可能性も示唆されています。 治療への不安や悩みに耳を傾け、共感する姿勢で、ご本人が心身ともに回復できるよう温かく見守ってあげましょう。
職場での理解を得るために病気についてどう説明すればよいか
「仕事中に眠そうだね」と指摘されたり、集中力低下でミスが増えたりすると、職場での立場が気になりますよね。 SASについて職場で説明する際は、要点をまとめて簡潔に伝えることが大切です。 信頼できる上司などに、以下のポイントを伝えてみてはいかがでしょうか。
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病名と主な症状 「睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病気の診断を受けました。睡眠中に呼吸が浅くなるため、日中に強い眠気が出るのが特徴です」
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本人の意思の問題ではないこと 「十分な睡眠時間を取っていても、脳が何度も覚醒するため睡眠の質が極端に悪く、気力ではコントロールできない症状です」
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現在治療中であること 「現在、専門のクリニックで治療を開始しており、症状の改善に努めています」
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必要な配慮の具体的な相談 「治療効果が現れるまで、もし可能であれば、長時間の運転業務や、重大な判断を要する作業の際にはご配慮いただけますと幸いです」
必要に応じて、医師の診断書を提出することも、客観的な状況説明として有効です。 病状を誠実に説明し、業務への影響を最小限にしたいという姿勢を示すことで、周囲の理解を得やすくなります。
治療によるいびき改善で寝室問題も解決!パートナーシップへの好影響
SASの治療は、ご本人の健康を守るだけでなく、パートナーとの関係にも素晴らしい変化をもたらす可能性があります。 長年悩まされてきた「寝室問題」が解決し、二人の生活の質(QOL)が向上することも少なくありません。
CPAP療法などの適切な治療を開始すると、大きないびきが改善され、寝室に静かな夜が戻ってくることが期待できます。 パートナーは騒音と不安から解放され、安心して眠れるようになるでしょう。 寝室を別にしていたご夫婦が、再び同じ部屋で眠れるようになったというケースも多くあります。
また、治療によってご本人の日中の眠気や倦怠感が解消されると、心に余裕が生まれます。 イライラしやすかった性格が穏やかになったり、会話に集中できるようになったりと、コミュニケーションの質も向上します。 心身の活力が戻ることで、お互いを思いやる気持ちが深まり、関係性がより円滑になるのです。
これまでは休日に疲れ果てていた方も、治療後はアクティブに過ごせるようになります。 一緒に趣味を楽しんだり、旅行に出かけたりと、二人の大切な時間をより豊かに過ごせるようになります。 SASの治療は、お二人の未来への大切な投資ともいえるのです。
治療後の生活はどう変わる?CPAPとの上手な付き合い方Q&A
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療でCPAP療法を始めると聞き、不安を感じる方も少なくないでしょう。 「毎日マスクをつけて寝るのは大変そう」「旅行や出張はどうすれば?」といった疑問は当然です。
しかし、CPAPはあなたの生活を制限するものではありません。 むしろ日中の眠気や倦怠感からあなたを解放する、心強いパートナーです。 治療は、高血圧や糖尿病のリスクを管理し、将来の健康維持を目指す上でも重要です。 ここでは、多くの方が抱く疑問にQ&A形式でお答えし、CPAPと上手に付き合っていくコツを一緒に見ていきましょう。

旅行や出張はどうする?持ち運び可能なCPAP装置と活用法
「仕事の出張や、楽しみにしていた旅行に行けなくなるのでは?」という心配は全く不要です。 ご安心ください。最近のCPAP装置は技術の進歩で小型・軽量化が進んでいます。 専用のキャリーバッグで、ノートパソコンのように気軽に持ち運ぶことができます。
旅行や出張の際も、いつも通り治療を継続するためのポイントをご紹介します。
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飛行機での利用 多くの航空会社ではCPAP装置を医療機器として扱っており、機内への持ち込みが可能です。 事前に航空会社のウェブサイトで規定を確認し、必要であれば連絡を入れておくとよりスムーズです。 英文の診断書や説明書を用意しておくと、保安検査での説明も安心です。
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海外での利用 海外と日本ではコンセントの形状や電圧が異なることがあります。 多くのCPAP装置は海外の電圧に自動で対応する設計になっています。 念のため、お使いの装置の仕様を確認し、変換プラグを準備しておきましょう。
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宿泊先での準備 ホテルの予約時に、枕元にコンセントがあるかを確認しておくと安心です。 もしもの場合に備え、1m程度の延長コードを一本持参すると、コンセントの位置を気にせず装置を設置できます。 また、加湿器用の精製水が手に入りにくい場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
旅行や出張の計画がある場合は、早めに主治医やCPAP装置のメーカーに相談し、万全の準備で楽しんでください。
マスクの不快感や圧迫感は慣れる?快適に使うための実践的なコツ
治療を始めたばかりの頃は、マスクの圧迫感や空気の圧に違和感を覚えることがあるかもしれません。 しかし、ほとんどの方は数週間から1ヶ月ほどで慣れていきます。 快適に使用を続けるためには、いくつかのコツがあります。ご自身に合った方法を一緒に探していきましょう。
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最適なマスクを選ぶ マスクには様々な種類があり、これが最も重要なポイントです。
- **ネーザルマスク:**鼻全体を覆うタイプ。安定感があります。
- **ピロータイプ:**鼻の穴に直接差し込むタイプ。顔との接触面が少なく、寝返りが多い方にも向いています。
- **フルフェイスマスク:**鼻と口を一緒に覆うタイプ。口呼吸の癖がある方や、鼻炎で鼻が詰まりやすい方に適しています。 顔の形や呼吸の癖に合わせて、最適なものを選ぶことが大切です。
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便利な機能を活用する
- **加湿・加温機能:**CPAPから送られる空気で鼻や喉が乾燥することがあります。加湿器やチューブの加温機能を使うと、不快感を大幅に和らげることができます。
- **圧の調整機能:**眠りにつくまでは低い圧力から始まり、徐々に設定圧まで上げていく「ランプ機能」や、息を吐くときに圧を少し下げる「呼気圧減圧機能」は、入眠時の違和感を少なくするのに役立ちます。
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日中に装着練習をする 夜にいきなり長時間つけるのが難しければ、日中のリラックスしている時間に試してみましょう。 15〜30分ほどマスクをつけてテレビを見たり読書をしたりして、少しずつ慣れていくのも良い方法です。
皮膚のかぶれなどが気になる場合は、マスクのフィッティングを調整したり、保護シートを使ったりする方法もあります。 どうしても不快感が続く場合は、遠慮なく主治医やスタッフに相談してください。
毎日のメンテナンスは面倒?清潔に保つための簡単なお手入れ方法
CPAP装置を毎日清潔に保つことは、カビや細菌の繁殖を防ぎ、感染症を予防する上で非常に大切です。 面倒に感じるかもしれませんが、習慣にしてしまえば短時間で済みます。 基本的なお手入れ方法をまとめました。
| 部品 | お手入れの頻度 | 方法 |
|---|---|---|
| マスク | 毎日 | 専用のウェットティッシュや柔らかい布で皮脂や汚れを拭き取ります。 |
| マスク・ヘッドギア | 週に1回 | 中性洗剤を溶かしたぬるま湯で優しく手洗いし、陰干しします。 |
| チューブ(ホース) | 週に1回 | マスクと同様に洗浄し、内部に水が残らないよう吊るして乾かします。 |
| 加湿チャンバー | 毎日〜週に1回 | 毎日、精製水を交換します。週に1回は中性洗剤で洗浄しましょう。 |
| 本体フィルター | 月に1〜2回 | ほこりを払い、汚れがひどい場合は交換します。(機種によります) |
毎日のお手入れはマスクを拭くだけでも構いません。 週末など時間に余裕のある時に、まとめて洗浄する習慣をつけるのがおすすめです。 清潔な装置で、毎晩気持ちよく治療を続けましょう。
減量や生活改善でCPAPを卒業できる可能性と条件
CPAP療法は睡眠中の無呼吸を防ぐための対症療法です。 しかし、SASの主な原因である肥満や生活習慣を改善することで、CPAP装置が不要になる可能性もあります。
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減量 肥満が原因の場合、体重を10%減らすだけで無呼吸の回数が大幅に改善することが報告されています。 特に首周りの脂肪が減ると、空気の通り道である気道が広がり、呼吸が楽になります。 糖尿病専門医の視点からも、減量は血糖コントロールを改善し、SASと糖尿病の両方に良い影響をもたらします。 食事療法や運動療法に一緒に取り組みましょう。
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生活習慣の見直し アルコールは喉の筋肉を緩ませ、気道を狭くする原因になります。就寝前の飲酒は控えましょう。 また、禁煙も気道の炎症を抑えるために重要です。
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睡眠環境の整備 CPAP治療と並行して、睡眠の質そのものを高めることも大切です。
このように、多角的なアプローチで睡眠環境を整えることが、より良い治療効果に繋がります。
CPAPからの卒業は、自己判断で中断するのではなく、必ず医師の診断のもとで行う必要があります。 生活習慣の改善が見られたら、再度検査を行い、無呼吸の状態が安全なレベルまで改善しているかを確認した上で、慎重に判断します。 焦らず、一歩ずつ改善を目指していきましょう。
まとめ
会議や運転中に襲ってくる耐え難い眠気や、日中のだるさ。 それは決してあなたの意志の弱さや気合不足が原因ではありません。
この記事で解説したように、その眠気の裏には「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という治療可能な病気が隠れている可能性があります。 SASは睡眠の質を著しく低下させ、脳や身体に大きな負担をかけますが、CPAP療法などの適切な治療で改善が見込めます。
治療によって、ご自身の健康はもちろん、パートナーとの穏やかな時間や仕事のパフォーマンス向上も期待できます。 「もしかして?」と感じたら、ぜひ一人で抱え込まず、専門のクリニックへ相談してみましょう。 質の高い睡眠を取り戻し、活気ある毎日を送るための第一歩を、今日から踏み出してみませんか。
参考文献
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- Kavehee A, Kashaninasab F, Ghalehbandi MF and Khoozan M. Neuroimaging findings in sleep disorders: A review article. Neurobiology of sleep and circadian rhythms 20, no. (2026): 100137.
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