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医療コラム

いびき・日中の眠気は要注意|睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・検査・治療を医師が徹底解説|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

いびき・日中の眠気は要注意|睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状・検査・治療を医師が徹底解説

「いびきがうるさい」「寝ている時に息が止まっている」。パートナーやご家族から、こんな心配をされた経験はありませんか?それは単なる癖ではなく、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という危険な病気のサインかもしれません。この病気は睡眠の質を著しく低下させ、日中の激しい眠気や集中力低下を引き起こすだけでなく、放置すると深刻な事態を招きます。

実際、SASを放置すると高血圧や糖尿病、さらには心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる病気のリスクが、健康な人に比べて数倍も高くなることが報告されています。睡眠中の無呼吸が、気づかぬうちにあなたの体を静かに蝕んでいるのです。

この記事では、医師がSASの危険なサインからご自宅でできるセルフチェック、そしてCPAP治療をはじめとするあなたに合った治療法までを徹底解説します。ご自身の未来の健康を守るための第一歩を、ここから踏み出しましょう。

そのいびき、病気のサインかも?睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状とセルフチェック

「いびきがうるさいよ」「寝ている時に息が止まっているみたい」と、ご家族やパートナーから心配された経験はありませんか。

もしかすると、それは単なるいびきではなく、「睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)」という病気のサインかもしれません。

SASは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする状態を繰り返す病気です。 これにより睡眠の質が著しく低下し、日中の生活だけでなく、全身の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

ご自身の体のサインに気づき、適切に対処することがとても大切です。 まずはSASの具体的な症状やご自身でできるチェック方法について、一緒に確認していきましょう。

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日中の眠気だけじゃない!見逃されがちなSASの危険なサイン

睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状として、日中の強い眠気がよく知られています。 しかし、SASが引き起こす症状はそれだけではありません。ご自身では気づきにくい、見逃されがちなサインも数多く存在します。

これらの症状は、睡眠中に呼吸が止まることで体が酸欠状態になり、脳や体が十分に休息できていないために起こります。

【見逃されがちなSASのサイン】

  • 朝の症状

    • 起床時の頭痛や頭の重さ
      • 睡眠中の酸欠状態により、脳の血管がそれを補おうと拡張するために起こると考えられています。
    • 口やのどがカラカラに乾いている
      • 口呼吸になっているサインです。鼻が詰まっている場合にも起こりますが、SASの可能性もあります。
    • 十分寝たはずなのに、すっきりしない、疲れがとれない
      • 睡眠が浅く分断されているため、体と脳が回復していません。
  • 日中の症状

    • 集中力や記憶力の低下
      • 日中に脳が十分に働けず、仕事や勉強でのミスが増える原因にもなります。
    • 気分が落ち込む、イライラしやすい
      • 質の悪い睡眠は精神的な安定にも影響します。研究では、SASが不安やうつ病の発症につながる可能性も指摘されています。
  • 夜間の症状

    • 夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)
      • 無呼吸により胸の中の圧力が大きく変動し、心臓に負担がかかります。その結果、尿の量を増やすホルモンが分泌されるために起こります。
    • 寝汗をたくさんかく
      • 呼吸を再開するために体が多くのエネルギーを使うため、汗をかきやすくなります。
    • 息苦しさで目が覚める
      • 無呼吸状態が長く続くと、体は危険を察知して強制的に目を覚まさせようとします。

これらの症状は生活の質を大きく低下させます。一つでも当てはまる場合は、SASの可能性を考えてみることが大切です。

家族に指摘されたら要注意ないびき・無呼吸の3つの特徴

ご自身の睡眠中の様子は、自分ではなかなか気づくことができません。 そのため、ベッドパートナーやご家族からの指摘は、SASを発見するための非常に重要な手がかりとなります。

もし、以下のような特徴を指摘されたら、専門の医療機関への相談を強くおすすめします。

  1. 大きないびきが突然止まり、静かになる

    • いびきは、空気の通り道である「上気道」が狭くなっているサインです。そのいびきが突然止まるのは、気道が完全にふさがってしまい、呼吸が停止している「無呼吸」の状態を示唆します。
  2. あえぐような呼吸と共に、再びいびきが始まる

    • しばらく呼吸が止まった後、「ガガッ!」「フガッ!」といった、溺れているかのような激しい呼吸音と共に、再び大きないびきが再開するのが特徴です。これは、体内の酸素濃度が低下したことを脳が感知し、生命の危機を回避するために強制的に呼吸を再開させている状態です。この時、ご本人は眠っていても、脳は覚醒に近い状態になっており、睡眠が深くならず、質が著しく低下します。
  3. 睡眠中に何度ももがいている、寝相が悪い

    • ご本人は覚えていなくても、呼吸の苦しさから無意識にもがき、頻繁に寝返りをうったり、手足を動かしたりすることがあります。穏やかな睡眠とはほど遠く、体は毎晩のように窒息と闘っている状態に置かれています。

ご家族からの指摘は、あなたの健康を守るための大切なメッセージです。 心配をかけていると感じるかもしれませんが、まずは事実を真摯に受け止め、一緒に解決策を探していきましょう。

自宅でできる簡単セルフチェックリスト|あなたは大丈夫?

「もしかして自分もSASかもしれない」とご心配な方のために、ご自宅で簡単にできるセルフチェックリストをご用意しました。 当てはまる項目が多いほど、SASの可能性が高まります。ぜひ一度、確認してみてください。

チェック項目 はい いいえ
睡眠中の症状
家族から大きないびきや呼吸の停止を指摘される
息苦しさや窒息感で目が覚めることがある
寝汗をよくかく
夜中に2回以上トイレに起きる
起床時の症状
起きた時に頭が痛い、または頭が重い
口やのどがカラカラに乾いている
十分な時間寝ても、熟睡した感じがしない
日中の症状
会議中や運転中など、強い眠気に襲われる
集中力や記憶力が落ちたと感じる
身体的な特徴
肥満気味である(BMI 25以上)
首が短くて太い、または首回りが大きい
下あごが小さい、またはあごが後方に下がっている

このチェックリストはあくまで簡易的な目安です。 正確な診断のためには、専門の医療機関での検査が必要になります。一つでも気になる点があれば、お気軽にご相談ください。

放置するとどうなる?高血圧・心疾患・脳卒中との深刻な関係

睡眠時無呼吸症候群を「たかがいびき」と軽く考えて放置してしまうと、命に関わるさまざまな生活習慣病のリスクを高めることがわかっています。

  • 高血圧

    • 睡眠中の無呼吸は、体を慢性的な酸欠状態にします。すると、体は危険を察知して交感神経(体を活動的にする神経)を興奮させ、心拍数と血圧を上昇させます。これが毎晩繰り返されることで、日中の血圧も高いままになってしまうのです。ある調査では、複数の降圧薬を飲んでも血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」の患者さんにおいて、SASの有病率が非常に高いことが報告されています。
  • 糖尿病

    • 糖尿病専門医の立場から見ても、SASと糖尿病は極めて深い関係にあります。SASによる慢性的な低酸素状態や睡眠不足は、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きを悪くする「インスリン抵抗性」という状態を引き起こします。血糖コントロールがなかなか安定しない患者さんの背景に、未治療のSASが隠れているケースは決して珍しくありません。
  • 心疾患・脳卒中

    • 高血圧や交感神経の過緊張は、心臓や血管に常に大きな負担をかけ続けます。その結果、血管の壁が傷つき、動脈硬化が進行します。これにより、不整脈(心房細動など)、心筋梗塞、狭心症といった心疾患や、脳梗塞・脳出血などの脳卒中を引き起こす危険性が、健康な人に比べて数倍も高くなることが報告されています。

このように、SASは全身の健康を蝕む深刻な病気です。 しかし、適切な検査と治療によって、これらのリスクは大幅に軽減することが可能です。 ご自身の未来の健康を守るためにも、勇気を出して専門医に相談しましょう。

診断までの流れがわかる|睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査方法

「いびきがうるさい」「寝ている時に息が止まっている」とご家族から指摘されたり、日中に強い眠気を感じたりして、「もしかしたら自分はSASかもしれない」と不安に思われているかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、放置すると高血圧や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めるため、早期に発見し、適切な治療を受けることがとても大切です。

ここでは、診断に至るまでの検査の流れを具体的に解説します。ご自身の状態を正しく知るための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

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まずは何科を受診すべき?専門医の選び方と相談のポイント

睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合、どの病院に行けばよいか迷われるかもしれません。SASの診療は、主に以下の診療科で対応しています。

  • 睡眠外来・睡眠センター
  • 糖尿病内科
  • 呼吸器内科
  • 耳鼻咽喉科
  • 循環器内科

まずは、高血圧や糖尿病などでかかりつけの先生がいらっしゃるなら、そちらに相談するのも良い方法です。特に糖尿病をお持ちの方はSASを合併していることが多く、血糖コントロールにも影響するため、主治医との情報連携が重要になります。

専門の医療機関を選ぶ際は、SASの検査や治療の実績が豊富なクリニックを選ぶと安心です。受診の際には、以下のポイントを医師に伝えることが、スムーズな診断につながります。

【受診時に伝えることリスト】

  • 主な症状  いびき、睡眠中の無呼吸、日中の眠気、起床時の頭痛、熟睡感のなさなど、気になる症状を具体的に伝えましょう。
  • 指摘された状況  ご家族やパートナーから「どんな時に」「どのくらいの頻度で」いびきや無呼吸を指摘されるかを伝えられると、より正確な情報になります。
  • 生活習慣  飲酒や喫煙の習慣、最近の体重の変化などを伝えます。
  • 持病や服薬状況  特に高血圧や糖尿病、心臓の病気などがある場合は必ず伝えましょう。お薬手帳も忘れずに持参してください。

自宅で完結!簡易検査(アプノモニター)の流れと費用

「いきなり入院検査を受けるのは、少し抵抗がある」と感じる方は少なくありません。そのような方のために、まずはご自宅で手軽にできる簡易検査があります。

これは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高いかどうかを調べるための「ふるい分け検査(スクリーニング検査)」です。

【簡易検査の流れ】

  1. 機器の受け取り  クリニックで検査機器を受け取るか、ご自宅へ郵送されます。
  2. ご自身で装着  就寝前に、説明書を見ながら指や鼻、胸などにセンサーを取り付けます。痛みはなく、誰でも簡単に装着できます。
  3. 睡眠  機器を装着したまま、いつも通りお休みください。睡眠中の呼吸の状態や血中の酸素濃度などが自動で記録されます。
  4. 機器の返却  翌朝、機器を取り外してクリニックに返却(または返送)します。

この検査では、睡眠中の呼吸の状態やいびき、血液中の酸素の量を測定します。これにより、無呼吸や低呼吸がどのくらい起きているかを調べることができます。

費用は保険適用(3割負担)の場合、3,000円程度が目安です。この結果をもとに、より詳しい精密検査が必要かどうかを医師が判断します。

より正確な診断のために|精密検査(PSG)とは

簡易検査の結果、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が強く疑われる場合には、確定診断のために一泊入院して精密検査「終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)」を行います。これは、睡眠の状態を総合的に評価するための、最も信頼性が高い検査です。従来では病院での入院が必要でしたが、現在ではご自宅での検査も可能なっております。

【精密検査(PSG)で調べること】

  • 脳波  睡眠の深さや質(レム睡眠・ノンレム睡眠の割合など)
  • 呼吸の状態  口と鼻の空気の流れ、胸やお腹の動き
  • 心電図  睡眠中の不整脈の有無
  • 血中の酸素飽和度  無呼吸による酸素不足の程度
  • その他  筋電図(足の動きなど)、いびきの音量

体にセンサーを取り付けますが、痛みは全くありません。

睡眠中の無呼吸は、体を低酸素状態にします。これが毎晩繰り返されると、脳にも影響が及ぶことが近年の研究でわかってきました。

特に、記憶を司る「海馬」の萎縮や、脳の活動を支えるネットワーク(デフォルト・モード・ネットワーク)の機能低下が起こり、認知機能に影響を与える可能性が指摘されています。

PSG検査は、こうした脳への影響も含めた睡眠の質全体を詳細に把握し、あなたの将来の健康を守るために非常に重要な検査なのです。

検査結果でわかること|AHI指数で重症度を把握する

検査結果は、「AHI(Apnea Hypopnea Index):無呼吸低呼吸指数」という数値で示されます。これは、睡眠1時間あたりに「無呼吸(10秒以上の呼吸停止)」と「低呼吸(呼吸が浅くなる状態)」が何回あったかを示す指標です。

AHIは、SASの重症度を客観的に判断するために用いられます。

【AHIによる重症度分類】

重症度 AHI(1時間あたりの回数) 状態の目安
正常 5回未満 正常な範囲です。
軽症 5回以上 15回未満 いびきや日中の軽い眠気が出ることがあります。
中等症 15回以上 30回未満 日中の強い眠気や集中力の低下など、日常生活に支障が出始めます。
重症 30回以上 命に関わる合併症のリスクが非常に高い状態です。速やかな治療が必要です。

このAHIの数値と、日中の眠気などの自覚症状を総合的に評価して、最終的な診断が下されます。そして、この重症度に応じて、CPAP(シーパップ)療法やマウスピース治療といった、あなたに合った治療方針が決まります。

例えば、代表的な治療法であるCPAP療法を健康保険で受けるためには、原則としてAHIが20回以上(簡易検査では40回以上)であることが条件の一つとなります。

ご自身の状態を正しく知り、適切な治療へと進むことが、健康な毎日を取り戻すための最も大切な一歩です。気になる症状があれば、決して放置せず、専門の医療機関にご相談ください。

CPAPだけじゃない!あなたに合ったSAS治療法の選び方

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断され、「これからどんな治療が始まるのだろう」「自分に合う治療法はあるのかな」と、ご不安に感じていらっしゃるかもしれません。

SASの治療は、ただいびきをなくすだけが目的ではありません。 質の高い睡眠を取り戻し、日中の活動性を向上させ、将来起こりうる心臓病や脳卒中といった深刻な病気を予防することが、治療の本当のゴールです。

治療の主役としてCPAP(シーパップ)療法が有名ですが、それ以外にも様々な選択肢があります。 大切なのは、あなたの症状の重さや体の状態、そしてライフスタイルに合わせて、最適な治療法を一緒に見つけていくことです。 これから、それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。

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CPAP(シーパップ)療法の効果・費用・保険適用を徹底解説

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、中等症から重症のSASに対する最も標準的で効果の高い治療法です。 寝ている間に鼻に装着したマスクから、一定の圧力をかけた空気を送り込みます。 これにより、喉の奥(上気道)が物理的に押し広げられ、睡眠中の気道の閉塞を防ぎます。

■ CPAP療法の絶大な効果 CPAP療法を始めると、その日のうちにいびきが止まり、無呼吸がなくなるなど、多くの方が劇的な効果を実感されます。 ぐっすりと眠れることで、日中のつらい眠気や倦怠感が改善し、集中力や意欲も向上します。

さらに重要なのは、CPAPがあなたの「脳を守る」治療でもあるという点です。 近年の研究では、未治療のSASによる慢性的な酸素不足が、記憶を司る「海馬」の萎縮や、脳の基本的な活動を支えるネットワーク(デフォルト・モード・ネットワーク)の機能低下を招く可能性が指摘されています。 CPAP治療は、こうした脳へのダメージを防ぎ、あなたの認知機能を守るという大切な役割も担っているのです。

■ 費用と保険適用 日本では、CPAP装置を医療機関からレンタルして使用するのが一般的です。 以下の条件を満たす場合、健康保険が適用され、毎月定額で治療を続けられます。

検査の種類 保険適用の条件(AHI) 自己負担額の目安(3割負担)
精密検査(PSG) AHI 20回/時間 以上 月々 約4,500円
簡易検査 AHI 40回/時間 以上 月々 約4,500円

※AHI(無呼吸低呼吸指数)とは、睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数です。 ※上記費用には、月1回の外来受診料も含まれます。保険適用で治療を続けるためには、毎月1回の対面またはオンラインでの診察で、治療状況を確認することが必要です。

CPAPが合わない方へ|マウスピース治療(口腔内装置)のメリット・デメリット

「CPAPのマスクが気になって眠れない」「出張や旅行が多くて持ち運びが大変」という方もいらっしゃるでしょう。 そのような場合には、マウスピース(口腔内装置)治療が有力な選択肢になります。

これは、睡眠中に専用のマウスピースを装着することで、下の顎を少し前に出した状態に固定し、気道を広げる治療法です。 主に軽症から中等症のSASの方に適用されます。

■ マウスピース治療のメリット

  • 持ち運びが簡単で手軽  コンパクトで電源も不要なため、旅行や出張先でも気兼ねなく使用できます。
  • 装着時の違和感が少ない  CPAPのような送風音やマスクによる圧迫感がなく、自然な感覚で眠りやすい方が多いです。
  • 導入後の費用負担が少ない  条件を満たせば保険適用で作成でき、CPAPのような毎月のレンタル費用はかかりません。

■ マウスピース治療のデメリット

  • 効果がCPAPより限定的  重症の方には効果が不十分な場合があり、AHIを十分に下げられないことがあります。
  • 適用できない場合がある  残っている歯が少ない方、重度の歯周病や顎関節症がある方は使用が難しいです。
  • 定期的な調整が必要  作成後も、効果を維持するために歯科での定期的な調整が必要になることがあります。

マウスピース治療を希望される場合は、まず主治医と相談の上、SAS治療に精通した歯科医を紹介してもらうのが一般的です。

根本治療を目指す選択肢|外科手術(UPPPなど)の適用と効果

SASの原因が、扁桃腺が大きい、アデノイドがある、鼻の骨が曲がっている(鼻中隔弯曲症)など、空気の通り道に物理的な問題がある場合には、外科手術が根本的な治療の選択肢となることがあります。

■ 主な外科手術の種類

  • 口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)  喉の奥にある口蓋垂(のどちんこ)や軟口蓋、扁桃腺の一部を切除して気道を広げます。
  • 鼻中隔弯曲矯正術  曲がっている鼻の骨をまっすぐに直し、鼻の通りを良くすることで、口呼吸を改善します。

■ 手術の適用と注意点 手術は、誰にでも適用されるわけではありません。 気道が狭くなっている原因が解剖学的に明確で、手術によって改善が確実に見込める場合に限られます。

効果には個人差が大きく、手術をしてもSASが完全には治らず、CPAP療法などが必要になるケースもあります。 また、入院が必要であり、術後の痛みや合併症のリスクも伴います。 手術を検討する際は、その必要性、期待できる効果、そしてリスクについて、耳鼻咽喉科の専門医と十分に話し合い、慎重に判断することが何よりも大切です。

治療の基本|減量・禁煙・寝姿勢の工夫でできる生活習慣改善

どの治療法を選ぶにしても、すべての治療の土台となるのが生活習慣の改善です。 特に肥満はSASの最大の原因の一つであり、生活習慣を見直すことは、治療効果を大きく左右します。

特に糖尿病専門医の立場から見ると、減量はSASと血糖コントロールの両方を改善する、まさに「一石二鳥」の治療法です。 質の高い睡眠は、生活の質(QOL)そのものを向上させます。ぜひ、できることから一緒に始めていきましょう。

【今日からできる生活習慣改善リスト】

  • □ 減量に取り組む  首周りの脂肪は、寝ている間に気道を物理的に圧迫します。体重を5〜10%減らすだけで、AHIが大幅に改善する方も少なくありません。バランスの取れた食事と、ウォーキングなどの有酸素運動を毎日の生活に取り入れてみましょう。
  • □ 禁酒・節酒を心がける  アルコールは、喉の筋肉を緩ませる作用(筋弛緩作用)があり、気道を狭くしてしまいます。特に就寝前の飲酒は、無呼吸を悪化させるため控えましょう。
  • □ 禁煙する  タバコは喉の粘膜に慢性的な炎症を起こし、気道の腫れにつながります。また、血液中の酸素運搬能力も低下させるため、SASの悪影響をさらに増大させます。
  • □ 横向きで寝る  仰向けで寝ると、重力で舌が喉の奥に落ち込み(舌根沈下)、気道が塞がりやすくなります。抱き枕を利用したり、背中にクッションを挟んだりして、横向き寝を習慣づけましょう。
  • □ 睡眠薬の服用は主治医に相談  睡眠薬や精神安定剤の中には、アルコールと同様に筋肉を緩ませる作用があり、無呼吸を悪化させる可能性があります。服用している場合は、自己判断でやめず、必ず主治医に伝えてください。

まとめ

今回は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の症状から治療法までを詳しく解説しました。

「いびきがうるさい」「日中、眠くて仕方ない」といった症状は、決して「いつものこと」と軽視してはいけません。それは、睡眠中に体が酸欠状態に陥っている危険なサインであり、放置すれば高血圧や心疾患といった命に関わる病気につながる可能性があります。

しかし、SASは適切な検査と治療によって、必ず改善できる病気です。CPAP療法をはじめ、マウスピース治療や生活習慣の改善など、あなたの症状やライフスタイルに合った治療法がきっと見つかります。

ご自身やご家族のいびき、日中の眠気が気になる方は、決して一人で悩まず、勇気を出して専門の医療機関へ相談してください。質の高い睡眠を取り戻し、健康でいきいきとした毎日を送るための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

参考文献

  1. Buffolo F, Votta S, Goi J, Burrello J, Di Dalmazi G, Cicero AFG, Mancusi C, Coletti Moia E, Iaccarino G, Borghi C, Muiesan ML, Ferri C, Mulatero P and Italian Society of Arterial Hypertension (SIIA). “Screening of obstructive sleep apnea in patients with hypertension: review of the literature and results of an Italian survey.” Journal of hypertension 44, no. 2 (2026): 233-242.
  2. Vatankhah P, Nami M, Khosravi MB, Jaberi AR, Jaberi KR, Alamdari-Plangi V, Haghighi MR, Tajbakhsh A and Eghbal MH. “The impact of sleep disturbance on post-transplant recovery and quality of life: Neural mechanisms and translational management strategies.” Behavioural brain research 497, no. (2026): 115870.
  3. Kavehee A, Kashaninasab F, Ghalehbandi MF and Khoozan M. “Neuroimaging findings in sleep disorders: A review article.” Neurobiology of sleep and circadian rhythms 20, no. (2026): 100137.
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この記事を書いた人

医療法人社団健楓会 統括責任者

小澤 剛史

医療法人社団健楓会 理事長 小澤 剛史
資格
日本糖尿病学会糖尿病内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医 他
プロフィール
東京医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院糖尿病センターや地域中核病院にて、高度かつ総合的な内科・糖尿病診療の研鑽を積んできた。 現在はせたがや仙川クリニックの統括責任者として、薬物療法だけでなく食事や生活背景まで考慮し、「長く安心して通えるかかりつけ医」として地域医療を支えている。
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