お酒を飲まない人も注意!「脂肪肝」が進行すると怖い理由とは|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

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医療コラム

お酒を飲まない人も注意!「脂肪肝」が進行すると怖い理由とは|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

お酒を飲まない人も注意!「脂肪肝」が進行すると怖い理由とは

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健康診断で「肝機能の数値が高い」と指摘され、「お酒はほとんど飲まないのに、なぜ?」と戸惑いや不安を感じていませんか。実は今、お酒が原因ではない脂肪肝、通称「NAFLD(ナッフルディー)」が急増しており、決して他人事ではありません。

「ただの脂肪」と軽視するのは大変危険です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状がないまま静かに進行し、気づいたときには肝硬変や肝がんへと至ることから「サイレントキラー」とも呼ばれています。さらに、糖尿病や心筋梗梗塞、認知症のリスクまで高めることもわかってきました。

この記事では、あなたの肝臓が発しているSOSサインの本当の意味と、放置した場合の深刻な未来、そして今日から始められる具体的な改善策を詳しく解説します。手遅れになる前に、ご自身の体と向き合ってみませんか。

お酒を飲まないのに脂肪肝?健康診断で指摘されたら知るべき原因

健康診断で「肝機能の数値が高い」と指摘され、「お酒はほとんど飲まないのに、なぜ?」と戸惑いや不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

実は近年、お酒を飲む習慣がない方の脂肪肝が著しく増えています。これは、ご自身のからだが発している大切なサインかもしれません。

自覚症状がないからと放置してしまうと、気づかないうちに肝炎や肝硬変、さらには肝がんといった、より深刻な病気へと進行する可能性があります。

まずはご自身の肝臓が今どのような状態にあるのかを正しく知り、不安を解消し、一緒に改善への一歩を踏み出していきましょう。

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)とは何か

お酒をほとんど、あるいは全く飲まない方に起こる脂肪肝を、まとめて「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディー)」と呼びます。

主な原因は、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣の乱れです。食事から摂ったエネルギーが消費されずに余ってしまうと、中性脂肪に変換されて肝臓に蓄積し、脂肪肝を引き起こします。

特に、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧といった生活習慣病を合併している方に多く見られます。糖尿病専門医の立場から見ても、脂肪肝は血糖コントロールの乱れを示す重要なサインの一つです。

NAFLDは、肝臓の炎症の有無によって、進行度の異なる2つのタイプに分けられます。

  1. 単純性脂肪肝(NAFL:ナッフル)  肝臓に脂肪が溜まっているだけの、比較的進行リスクが低い状態です。NAFLDの方の約8〜9割がこのタイプにあたります。しかし、リスクが低いといっても、NASHへと進行する可能性はゼロではありません。

  2. 非アルコール性脂肪肝炎(NASH:ナッシュ)  溜まった脂肪が原因で肝臓に炎症が起き、肝細胞がじわじわと壊れ始めている状態です。NAFLDの方の約1〜2割がこのタイプとされ、放置すると肝臓が硬くなる「線維化」が進みます。NASHは10年以内に約1〜2割の方が肝硬変に至るとされ、肝がんを発症するリスクも高まるため、特に注意が必要です。

項目 単純性脂肪肝 (NAFL) 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH)
肝臓の状態 脂肪が蓄積しているだけの状態 脂肪の蓄積に加え、炎症や線維化を伴う状態
進行リスク 低い(ただしNASHへ移行することも) 高い(肝硬変・肝がんへ進行する可能性あり)

どちらのタイプであっても、脂肪肝は生活習慣を見直すための重要な警告です。早期に対処することで、肝臓を再び健康な状態に戻すことが期待できます。

ALT(GPT)・AST(GOT)の数値が示すあなたの肝臓の状態

健康診断の血液検査結果にある「ALT(GPT)」と「AST(GOT)」は、肝臓の健康状態を知るための重要な手がかりです。

これらはどちらも肝細胞の中に含まれる酵素で、肝臓がダメージを受けると血液中に漏れ出してきます。つまり、これらの数値が高いということは、肝細胞が壊れて炎症が起きているという、肝臓からのSOSサインなのです。

それぞれの酵素には、以下のような特徴があります。

  • AST (GOT)  肝臓だけでなく、心臓の筋肉や骨格筋などにも存在します。激しい運動の後などでも数値が上がることがあります。
  • ALT (GPT)  そのほとんどが肝臓に存在します。そのため、ALTの数値が高い場合は、より肝臓由来のダメージが強く疑われます。

一般的に、どちらの数値も「30 U/L」以下が基準とされていますが、基準値内であっても数値が高めの方は注意が必要です。特に、お酒を飲まない方の脂肪肝では、ASTよりもALTの数値がより高くなる傾向が見られます。

検査項目 一般的な基準値(目安) 数値が高い場合に考えられること
AST (GOT) 30 U/L 以下 脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、肝硬変、肝がん、心筋梗塞、筋肉の病気など
ALT (GPT) 30 U/L 以下 脂肪肝、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、肝硬変、肝がんなど

健康診断でこれらの数値の異常を指摘された場合は、自覚症状がなくても決して放置しないでください。一度、内科や消化器内科などの医療機関を受診し、より詳しい検査を受けることを強くお勧めします。

自覚症状はほぼゼロ。見逃したくない初期サインとセルフチェック

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、ダメージがかなり蓄積するまで、ほとんど自覚症状が現れません。

症状がないために「まだ大丈夫だろう」と自己判断してしまうことが、気づかないうちに病気を進行させてしまう最大の原因です。これが、脂肪肝が「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれるゆえんです。

まれに、以下のような症状を感じることがありますが、これらは脂肪肝に特有のものではなく、他の病気でも見られるものです。

  • なんとなく体がだるい、疲れが抜けない
  • 食欲がない、吐き気がする
  • 右のあばら骨の下あたりに重苦しさや違和感がある

症状に頼るのではなく、ご自身の生活習慣を客観的に振り返ることが、脂肪肝のリスクを発見する上で非常に重要になります。

【脂肪肝リスク セルフチェックリスト】 ご自身の生活習慣に当てはまる項目をチェックしてみましょう。

  • □ BMIが25以上である(BMI = 体重kg ÷ (身長m × 身長m))
  • □ 健康診断で血糖値、血圧、中性脂肪、コレステロールのいずれかが高い
  • □ 甘いお菓子やジュース、果物をよく摂る習慣がある
  • □ 食事は早食いで、満腹になるまで食べないと満足できない
  • □ 揚げ物やラーメンなど脂っこいものが好きで、よく食べる
  • □ 忙しくて朝食を抜くことが週に数回ある
  • □ 定期的な運動習慣がほとんどない
  • □ 移動は車や公共交通機関が中心で、あまり歩かない

3つ以上当てはまった方は、すでに脂肪肝になっているか、将来なるリスクが高い可能性があります。健康診断の結果と合わせて、生活習慣の改善を意識することが大切です。

痩せている人や子どもでも脂肪肝になる理由

「脂肪肝は太っている人の病気」というイメージが強いかもしれませんが、実は痩せている方や標準体型の方、そして子どもにも脂肪肝が見つかるケースが増えています。体型だけで安心はできません。

痩せているのに脂肪肝になる主な原因は以下の通りです。

  • 極端なダイエット  食事量を極端に減らす、あるいは特定の栄養素だけを抜くような無理なダイエットは危険です。特にタンパク質が不足すると、肝臓は蓄えた脂肪をエネルギーとしてうまく利用できなくなり、かえって脂肪を溜め込んでしまう「低栄養性脂肪肝」になることがあります。

  • 糖質の過剰摂取  ご飯やパンなどの主食は控えめでも、お菓子や清涼飲料水、果糖の多い果物を頻繁に摂る食生活は要注意です。余分な糖質は肝臓で中性脂肪に作り替えられ、脂肪肝の直接的な原因となります。

  • 遺伝的な体質  遺伝的に肝臓に脂肪がつきやすい、あるいはインスリンが効きにくい(インスリン抵抗性)体質の方もいます。

近年の研究では、痩せ型や標準体型のNAFLDの方でも、糖尿病やその予備軍である前糖尿病である割合が高いことがわかってきました。

ある国際的な調査では、痩せ型NAFLDの方の約15%が糖尿病、約23%が前糖尿病であったと報告されています。これは決して無視できない数字です。

糖尿病専門医の立場からも、痩せている方の脂肪肝は、将来の糖尿病リスクを示す重要なサインとして決して見過ごせません。体型に関わらず、脂肪肝を指摘されたら、それは生活習慣を見直す良い機会だと捉えましょう。

「ただの脂肪」と放置は禁物。肝硬変から全身の病気につながるリスク

健康診断で「脂肪肝」を指摘されても、多くの方は「症状もないし、少し食べ過ぎただけ」と軽く考えてしまいがちです。しかし、その「ただの脂肪」は、沈黙の臓器である肝臓が発している、見逃してはならない重要なSOSサインなのです。

自覚症状がないからと放置してしまうと、気づかないうちに肝硬変や肝がんといった命に関わる病気に進行する可能性があります。それだけではありません。糖尿病や心筋梗梗塞、脳卒中、さらには認知症といった、全身のさまざまな病気のリスクを高めることもわかってきています。

症状がない今だからこそ、ご自身の身体と向き合う絶好の機会です。脂肪肝が持つ本当のリスクを正しく理解し、未来の健康を守るための第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

脂肪肝から肝炎、肝硬変、そして肝がんへ至る沈黙の進行ルート

脂肪肝は、症状がないまま静かに悪化していくため、「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも呼ばれています。放置することで、肝臓は以下のような段階を経て、深刻な状態へと進行していく可能性があります。

  • ステップ1:単純性脂肪肝  肝臓の細胞に中性脂肪が過剰に蓄積した状態です。この時点では肝臓の機能はまだ保たれており、生活習慣を見直すことで、健康な肝臓へと回復することが十分に可能です。

  • ステップ2:非アルコール性脂肪肝炎(NASH)  蓄積した脂肪が引き金となり、肝臓に炎症が起きて細胞が壊れ始めた状態です。炎症が続くと、肝臓は傷を修復しようとして硬い組織(線維)を作り出します。これを「線維化(せんいか)」と呼び、肝臓が徐々に硬くなっていく変化が始まります。

  • ステップ3:肝硬変  長年の炎症と線維化の繰り返しにより、肝臓全体が硬くゴツゴツした状態になり、本来のしなやかさを失います。こうなると、血液をろ過したり、栄養を代謝したりする肝臓の重要な機能が果たせなくなります。黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)や腹水(お腹に水が溜まる)といった症状が現れますが、この段階では元の健康な肝臓に戻ることは極めて難しくなります。

  • ステップ4:肝がん  肝硬変の状態は、がんが発生しやすい土壌のようなものです。特にNASHから肝硬変へ進行した場合、年間に数%の確率で肝がんを発症すると報告されています。

このように、脂肪肝は決して「ただの脂肪」ではありません。命を脅かす可能性のある、深刻な病気への入り口であることを、まずはしっかりと認識することが大切です。

糖尿病・心筋梗塞・脳卒中のリスクを高める脂肪肝との密接な関係

脂肪肝は、肝臓だけの問題では終わりません。糖尿病内科専門医の立場から特に強調したいのは、脂肪肝と糖尿病の、切っても切れない深い関係です。

肝臓に脂肪が溜まると、「インスリン抵抗性」という状態を引き起こします。これは、血糖値を下げる唯一のホルモンであるインスリンが、うまく効かなくなってしまう状態のことで、2型糖尿病の根本的な原因の一つです。つまり、脂肪肝を放置することは、糖尿病へのアクセルを踏み続けていることと同じなのです。

驚くべきことに、最近の世界的なデータをまとめた研究では、お酒を飲まない非肥満の脂肪肝(NAFLD)の方であっても、糖尿病を発症している割合が15.6%、その予備軍である前糖尿病の状態の方が22.9%もいることが報告されました。これは、痩せている方でも脂肪肝があれば、約4割の方がすでに血糖値に問題を抱えていることを示しており、決して他人事ではありません。

さらに、脂肪肝は全身の動脈硬化を加速させます。

  • 脂質異常症  悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を増やします。
  • 高血圧  常に血管に高い圧力がかかる状態を招きます。

これらの要因が複合的に絡み合うことで、心臓の血管が詰まる「心筋梗塞」や、脳の血管が詰まったり破れたりする「脳卒中」といった、命に直結する病気のリスクを著しく高めてしまうのです。

脂肪肝は認知症の発症リスクにも影響する可能性

近年の研究では、肝臓の健康状態が、脳の機能、特に認知症の発症リスクにも影響を及ぼす可能性が次々と指摘されています。まだ研究途上の分野ではありますが、主に以下の3つのメカニズムが考えられています。

  1. インスリン抵抗性の脳への影響  脳は活動するために大量のブドウ糖をエネルギー源とします。脂肪肝が引き起こすインスリン抵抗性は、脳がブドウ糖をうまく利用するのを妨げ、神経細胞のエネルギー不足を招くことで、認知機能の低下につながる可能性があります。

  2. 全身に広がる慢性的な炎症  脂肪が溜まった肝臓は、「サイトカイン」という炎症を引き起こす物質を血液中に放出します。この炎症物質が全身を巡り、脳に到達すると、脳内で微弱な炎症を慢性的に引き起こします。この炎症が、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる「アミロイドβ」というゴミのようなタンパク質の蓄積を促すと考えられています。

  3. 動脈硬化による脳血流の低下  脂肪肝が促進する動脈硬化は、脳に血液を送る大切な血管にも起こります。血管が硬く、狭くなることで脳への血流が低下し、脳細胞に十分な酸素や栄養が届かなくなります。これにより、脳の機能が低下し、脳血管性認知症のリスクが高まるのです。

肝臓をいたわる生活習慣は、将来の脳の健康を守ることにも直結する、大切な自己投資と言えるでしょう。

急激なダイエットが逆に肝臓にダメージを与える医学的根拠

「脂肪肝を改善するために、すぐに痩せなければ!」と焦り、食事を抜いたり、特定の食品だけを食べたりするような極端なダイエットを始めるのは、かえって危険です。無理な減量は肝臓に大きな負担をかけ、「低栄養性脂肪肝」という、さらに状態を悪化させる脂肪肝を招くことがあります。

そのメカニズムを説明します。

  1. 体が「飢餓状態」に陥る  極端な食事制限を行うと、体はエネルギー不足の「飢餓状態」と判断します。
  2. 全身の脂肪が肝臓へ集められる  エネルギーを作り出すため、体は非常事態として、皮下脂肪などを分解して肝臓へと送り込みます。
  3. タンパク質不足で脂肪を処理できない  肝臓は集まった脂肪をエネルギーに変え、全身に送り出す役割があります。しかし、この脂肪を運び出すためには、「リポタンパク質」というタンパク質でできた”輸送トラック”が必要です。無理なダイエットでタンパク質が不足していると、このトラックを作ることができません。
  4. 行き場を失った脂肪が肝臓に蓄積  結果として、輸送トラックに乗れなかった大量の脂肪が肝臓内で行き場を失い、溜め込まれてしまいます。これが、低栄養性脂肪肝の正体です。

脂肪肝の改善には、体重を減らすことが非常に効果的です。ただし、それはあくまで栄養バランスの取れた食事と適度な運動を組み合わせた、緩やかな減量に限ります。1ヶ月に現在の体重の1〜2%減らす程度を目安に、焦らず、健康的に取り組むことが成功への近道です。

今日から始める!脂肪肝を改善する食事と運動の処方箋

健康診断で「脂肪肝」や「肝機能の数値が高い」と指摘され、どうすれば良いのか不安に感じていらっしゃるかもしれません。

脂肪肝の治療には、残念ながら「これを飲めば治る」という特効薬はまだありません。しかし、落ち込む必要はまったくありません。脂肪肝は、あなたの肝臓が「このままでは大変なことになる」と送ってくれている、生活習慣を見直すための重要なサインなのです。

糖尿病専門医の立場からも、この段階で気づき、対策を始めることは、将来の糖尿病や心筋梗梗塞といった病気を防ぐ上で極めて重要だと考えています。食事や運動といった生活習慣を正しく改善すれば、肝臓の機能を健康な状態に戻すことは十分に可能です。

ここからは、今日から始められる具体的な食事と運動の「処方箋」を、一緒に確認していきましょう。

まずはこれから!控えるべき糖質・脂質と積極的に摂りたい栄養素

脂肪肝を改善するための食事の基本は、とてもシンプルです。それは、「肝臓の負担を減らし、働きを助ける」ことに尽きます。

具体的には、肝臓で中性脂肪に変わりやすい「糖質」と「脂質」の摂り方に注意が必要です。そして、肝臓の修復や再生を助ける栄養素を積極的に摂ることが大切になります。

【まず見直したい栄養素】 肝臓に脂肪を溜め込む直接の原因となる栄養素です。

栄養素 具体的な食品例 改善のポイント
糖質 ジュース、菓子パン、お菓子、白米・うどんの食べ過ぎ 特に飲み物に含まれる「果糖ブドウ糖液糖」は中性脂肪に変わりやすいため要注意です。まずはお水やお茶に変えることから始めましょう。
脂質 揚げ物、スナック菓子、加工肉(ベーコン等)、マーガリン 動物性の油(飽和脂肪酸)や、お菓子やパンに含まれるトランス脂肪酸は控えめに。調理法を「揚げる」から「蒸す・焼く」に変える工夫も有効です。

【積極的に摂りたい栄養素】 ダメージを受けた肝臓を修復し、正常な働きをサポートする栄養素です。

栄養素 具体的な食品例 期待される働き
良質なタンパク質 豆腐・納豆、鶏むね肉(皮なし)、白身魚、卵 肝臓の細胞が新しく生まれ変わるために不可欠な材料です。不足すると肝臓の修復が追いつきません。
食物繊維 野菜、きのこ類、海藻類、玄米 糖や脂質の吸収を穏やかにしてくれます。食事の最初に野菜から食べる「ベジタブルファースト」を心がけましょう。
ビタミンE アーモンド、ほうれん草、ブロッコリー 肝臓の炎症を抑える働きが期待され、診療ガイドラインでも薬物療法として推奨されることがあります。
オメガ3脂肪酸 サバ、イワシ、アジなどの青魚 体に良い良質な油であり、肝臓の健康維持に役立つことが分かっています。週に2〜3回は食卓に取り入れたい食品です。

近年では、ゼブラフィッシュという小さな魚を用いたモデル研究が進んでいます。このような基礎研究によって、特定の栄養素が肝臓の脂質代謝(つまり、脂肪を処理する仕組み)にどう影響するかが、分子レベルで少しずつ明らかになってきているのです。バランスの良い食事で、肝臓をいたわってあげましょう。

忙しい人でも続けられる「ながら運動」と効果的な有酸素運動の組み合わせ

食事改善と車の両輪となるのが運動です。運動には、肝臓にたまってしまった脂肪を直接エネルギーとして燃焼させる効果があります。

「忙しくて運動の時間が取れない」と感じる方も多いかもしれません。大切なのは、完璧を目指すことではなく「継続すること」です。まずは日常生活の中で少しだけ活動量を増やすことから始めてみましょう。

1. 日常生活でできる「ながら運動」  特別な時間を作らなくても、日々の活動にプラスするだけで効果があります。

  • エレベーターやエスカレーターを階段に変える
  • 通勤時に一駅手前で降りて歩く距離を延ばす
  • テレビを見ながらその場で足踏みや軽いスクワットをする
  • 歯磨きをしながら、かかとの上げ下ろし運動をする

2. 脂肪燃焼に効果的な有酸素運動  内臓脂肪を効率よく燃焼させるためには、有酸素運動がおすすめです。

  • 運動の種類:  ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳など
  • 目標:  「少し息が弾むけれど、会話はできる」くらいの強度で、1回30分以上、週に3〜5日行うのが理想です。

運動量の目安として「メッツ・時」という単位があります。脂肪肝の改善には週に10メッツ・時以上が推奨されています。これは、例えば早歩き(4メッツ)を1日30分(0.5時間)、週5日行うことで達成できます(計算式:4メッツ × 0.5時間 × 5日 = 10メッツ・時)。

3. 筋力トレーニングで太りにくい体へ スクワットや腕立て伏せなどの筋力トレーニングを組み合わせると、さらに効果的です。筋肉量が増えると基礎代謝(何もしなくても消費されるエネルギー)が上がり、脂肪が燃えやすい、太りにくい体質へと改善できます。これはインスリンの効きを良くする効果もあり、糖尿病予防の観点からも非常に重要です。

改善までの期間は?肝機能数値を下げるための目標設定

「食事や運動を始めたら、どのくらいで肝臓は良くなるの?」というのは、皆さんが最も気になるところだと思います。

改善までの期間は、もともとの脂肪肝の程度や生活習慣によって異なりますが、大切なのは焦らず、着実に継続することです。具体的な目標として、日本消化器病学会の「NAFLD/NASH診療ガイドライン」では、体重の減少が肝機能の改善に有効であると明確に示されています。

体重減少の目標 期待できる医学的な効果
体重の7%減少 肝臓に溜まった脂肪が減少し、肝臓の炎症(肝炎)が改善することが多くの研究で示されています。例えば、体重70kgの方なら約5kgの減量が目安です。
体重の10%減少 さらに減量を進めることで、肝臓が硬くなる「線維化」の改善も期待できます。これは、肝硬変への進行を防ぐ上で非常に重要な意味を持ちます。

ただし、結果を急ぐあまり、極端な食事制限などで急激に体重を落とすのは絶対に避けてください。栄養不足に陥り、かえって肝臓に負担をかける「低栄養性脂肪肝」を招く危険性があります。

1ヶ月に1〜2kgのペースで、無理なく健康的に減量を進めていきましょう。定期的にクリニックで血液検査や腹部エコー検査を受け、ご自身の肝臓の状態を客観的に把握しながら、二人三脚で改善を目指していくことが、成功への着実な一歩となります。

まとめ

この記事では、お酒を飲まない方の脂肪肝がなぜ怖いのか、そして具体的な改善方法について詳しくご紹介しました。

自覚症状がないため「まだ大丈夫」とつい見過ごしてしまいがちですが、脂肪肝は「沈黙の臓器」である肝臓が発している大切なSOSサインです。放置すれば肝硬変や肝がんだけでなく、糖尿病や心筋梗塞といった全身の病気につながる可能性があります。

しかし、決して怖いだけの病気ではありません。脂肪肝は、食事や運動といった生活習慣を見直すことで、ご自身の力で改善が期待できる病気です。まずはできることから一つずつ、未来の健康のために始めてみませんか。不安な方は一人で抱え込まず、専門の医療機関へ気軽に相談してくださいね。

参考文献

  1. Li YY, Yu Y, Jing HB, Gu YH, Zhang HF, Bao WP, Liu C, Cao L and Fan YF. Global epidemiology of diabetes and prediabetes in lean or non-obese patients with NAFLD: a systematic review and meta-analysis. Annals of medicine 58, no. 1 (2026): 2602995.
  2. Rafizadeh M, Khazaei-Poul Y, Mohammadi H, Khorramizadeh M, M Amoli M, Larijani B and Ziai SA. Applications of Danio rerio as a model for studying NAFLD and NASH. Journal of diabetes and metabolic disorders 25, no. 1 (2026): 8.
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