冬の脱衣所・お風呂が危険?高血圧の方が知っておくべき「ヒートショック」対策|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

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医療コラム

冬の脱衣所・お風呂が危険?高血圧の方が知っておくべき「ヒートショック」対策|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

冬の脱衣所・お風呂が危険?高血圧の方が知っておくべき「ヒートショック」対策

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寒い冬の日の温かいお風呂は、心と体を癒す至福のひとときです。しかし、その心地よい時間に「ヒートショック」という命に関わる危険が潜んでいることをご存知でしょうか。暖房の効いた部屋から寒い脱衣所へ、そして熱いお湯へという急激な温度差が、血圧をジェットコースターのように乱高下させ、心臓や脳に深刻なダメージを与えるのです。

実際に、東京都の調査では、入浴中に心肺停止状態になった人の数は、夏に比べて冬の1月では約10.7倍にものぼるという衝撃的なデータもあります。これは決して他人事ではなく、特に血圧が高い方は、そのリスクが格段に高まるため細心の注意が必要です。

この記事では、ヒートショックが起こるメカニズムから、今日からすぐに実践できる具体的な予防策までを詳しく解説します。ご自身と大切な家族の命を守るため、安全な入浴法を身につけましょう。

なぜ冬の入浴は危険?高血圧とヒートショックのメカニズム

冬の寒い日、温かいお風呂は心と体を癒す至福のひとときです。しかし、この心地よい時間には「ヒートショック」という危険が潜んでいることをご存知でしょうか。

ヒートショックとは、急激な温度の変化によって血圧がジェットコースターのように大きく変動し、心臓や血管に重大な負担がかかる状態を指します。特に、暖房の効いた部屋から寒い脱衣所へ移動し、熱いお湯に入るといった、冬場に起こりがちな状況で発生しやすくなります。

実際に、東京都の調査では、入浴中に心肺停止状態になった人の数は、最も少ない8月に比べて、最も多い1月では約10.7倍にものぼるというデータがあります。このことからも、冬の入浴がいかに危険をはらんでいるかがお分かりいただけるでしょう。これは決して他人事ではありません。まずは、なぜ冬の入浴が危険なのか、そのメカニズムを一緒に学んでいきましょう。

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ヒートショックで血圧はこう変動する!体内で起こる変化とは

ヒートショックが起こる時、私たちの体の中では、血圧が極めて短時間に激しく上下します。この危険な血圧変動の仕組みを、入浴の一連の流れに沿って見ていきましょう。

  1. 暖かいリビング → 寒い脱衣所・浴室 暖かい部屋から移動し、寒い脱衣所で服を脱ぐと、体は熱を逃がさないように血管を「ギュッ」と強く収縮させます。血管が細くなると血液が流れる際の抵抗が大きくなるため、血圧が急上昇します。

  2. 熱いお湯に浸かる 急に42℃以上の熱いお湯に浸かると、その強い刺激で体を興奮させる交感神経が活発になります。これにより、血圧はさらに上昇します。研究によっては、この瞬間に血圧が20mmHgほど上昇することもあると報告されています。

  3. 体がお湯で温まる 体が十分に温まってリラックスしてくると、今度は逆に血管が大きく広がります。これにより、それまで高かった血圧は急激に低下していきます。

  4. 浴槽から急に立ち上がる 入浴によって血管が広がっている状態で急に立ち上がると、重力の影響で血液が一気に下半身へ集まります。その結果、脳へ送られる血液が一時的に不足し、立ちくらみや意識消失(失神)を引き起こすのです。

このように、短時間での急激な血圧の変動は、心臓や血管に深刻なダメージを与えます。私たちの血圧は本来、1日の中で自然なリズム(サーカディアンリズム)で変動していますが、ヒートショックはこのリズムを大きく乱し、体に危険な影響を及ぼすのです。

高血圧の方が特に注意すべき3つの理由

ヒートショックは誰にでも起こりうる現象ですが、高血圧の方は特に深刻な事態に繋がりやすく、細心の注意が必要です。その理由は主に3つあります。

  1. 動脈硬化が進行している可能性 高血圧の状態が長く続くと、血管は常に強い圧力にさらされ、次第に硬く、もろくなっていきます。これが「動脈硬化」です。動脈硬化が進んだ血管はしなやかさを失っているため、急激な血圧の変動に耐えられず、破れたり詰まったりする危険性が格段に高まります。

  2. 血圧の変動幅が大きくなりやすい 高血圧の方は、健康な方に比べて温度変化といった外部からの刺激に対する血圧の反応が大きくなる傾向にあります。ある調査では、入浴前の収縮期血圧(上の血圧)が160mmHg以上の方は入浴事故のリスクが約3.6倍に、拡張期血圧(下の血圧)が100mmHg以上の方では、リスクが約14.7倍にも増加すると報告されています。

  3. 降圧薬(血圧を下げる薬)の影響 降圧薬を服用中の方は、薬の効果によって血圧が下がりやすい状態にあります。そこに入浴による血管拡張作用が加わると、血圧が必要以上に下がりすぎてしまい、めまいや失神を起こす危険性が高まります。

高血圧の背景には、遺伝的な要因や生活習慣が複雑に関わっています。近年の研究では、生活習慣が遺伝子の働きを変化させる仕組み(エピジェネティクス)が、若い方の高血圧にも影響することが分かってきました。元々の体質に加え、冬の急激な温度変化が重なることで、危険性がさらに高まることを知っておきましょう。

これが危険のサイン!失神やめまいなどヒートショックの初期症状

ヒートショックは、深刻な事態に至る前に、体から何らかのサインが出ていることが少なくありません。「自分は大丈夫」と過信せず、入浴中に少しでも異変を感じたらすぐに対処することが命を守る上で非常に重要です。

以下のような症状は、ヒートショックの危険なサインかもしれません。

症状の種類 具体的な症状
意識に関する症状 ・めまい、ふらつき、立ちくらみ
・意識が遠のく感じ、気が遠くなる
気分に関する症状 ・気分が悪くなる、吐き気がする
・生あくびが出る
心臓・呼吸に関する症状 ・胸の痛み、圧迫感、締め付けられる感じ
・動悸、息切れ

これらの症状は、血圧の急激な変動によって、脳や心臓といった重要な臓器に必要な血液が十分に行き渡らなくなっているために起こります。

特に、お湯に浸かって血管が広がっている状態で急に立ち上がると、脳への血流が一時的に減少し、めまいや失神を起こしやすくなります。万が一、浴槽内で意識を失うと、そのまま溺れてしまうことになり、大変危険です。少しでも「おかしいな」と感じたら、無理をせず、ゆっくりと浴槽から出る、あるいは同居する家族に助けを求めるなどの行動をとってください。

最悪の場合、心筋梗塞や脳卒中に繋がることも

ヒートショックが本当に恐ろしいのは、めまいや失神だけでなく、命に関わる重篤な病気を引き起こす可能性がある点です。血圧の乱高下は、血管にとって大きなストレスとなり、次のような病気の引き金となります。

  • 血圧が急上昇したときのリスク 血管に耐えきれないほどの強い圧力がかかることで、脳の血管が破れて「脳出血」や「くも膜下出血」を起こしたり、心臓に血液を送る冠動脈が詰まって「心筋梗versation」を起こしたりする危険性が高まります。

  • 血圧が急降下したときのリスク 血圧が下がりすぎると、脳や心臓への血流が不足します。これにより意識を失い、浴槽で溺れてしまう事故に繋がります。また、血流が滞ることで血栓(血の塊)ができやすくなり、それが脳の血管に詰まれば「脳梗塞」、心臓の血管に詰まれば「心筋梗塞」の原因となることもあります。

特に、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病をお持ちの方は、動脈硬化が進んでいることが多く、リスクがさらに高まります。日々の生活習慣を見直すことも、巡り巡ってヒートショックの予防に繋がります。例えば、定期的な運動が腸内環境を整え、血圧に良い影響を与える可能性も指摘されています。

冬場の入浴のリスクを正しく理解し、ご自身の体を守るための対策を一緒にしっかりと行っていきましょう。

今日からできる!ヒートショックを防ぐ9つの安全な入浴習慣

寒い冬の入浴は、一日の疲れを癒す至福の時間です。しかし、高血圧やその背景にある生活習慣病をお持ちの方にとっては、血圧の乱高下による「ヒートショック」が大きな心配事でしょう。

ですが、ご安心ください。これからご紹介するいくつかのポイントを日常生活に取り入れるだけで、入浴は安全で健康的な習慣になります。誰でも今日から実践できる簡単な工夫です。ご自身の体を守り、大切なご家族に心配をかけないためにも、安全な入浴習慣を一緒に身につけていきましょう。

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【入浴前】脱衣所と浴室の温度差をなくす工夫

ヒートショックを防ぐ上で最も重要なのは、暖かいリビングと寒い脱衣所・浴室との「温度差」を極力なくすことです。体が急激な寒さにさらされると、血管は熱を逃がさないように強く収縮し、血圧を危険なレベルまで上昇させる引き金となります。

特に、リビングなどとの温度差が10℃以上ある場合は、細心の注意が必要です。入浴前にひと手間かけることが、この危険な血圧変動を予防する最初のステップです。

【具体的な対策リスト】

  • 脱衣所を暖める  入浴の15分から30分ほど前から、小型の暖房器具で脱衣所を暖めておきましょう。20℃前後が目安です。

  • 浴室全体を暖める

    • 浴室暖房乾燥機を使う  備え付けの機能があれば、入浴前に作動させておきましょう。
    • シャワーを賢く活用する  浴槽にお湯を張る際、高い位置からシャワーで給湯すると、その湯気で浴室全体が効率よく暖まります。
    • 床や壁にお湯をかける  入浴前に床や壁に熱めのシャワーをかけておくだけでも、浴室内の温度はかなり上がります。
    • 浴槽の蓋を開けておく  お湯が沸いたら、入浴直前に蓋を開けておくと、湯気が充満し浴室を暖めてくれます。

これらの対策で、服を脱ぐ際の血圧の急上昇を穏やかにすることができます。特に糖尿病をお持ちの方は、神経障害によって温度を感じにくくなっている場合があるため、温度計を目で見て確認する習慣も大切です。

【入浴中】かけ湯から始める正しいお風呂の入り方

脱衣所と浴室の温度差をなくしたら、次はお風呂への入り方が重要です。準備が整ったからといって、いきなり熱いお湯に肩まで浸かるのは非常に危険です。体が温度変化に驚き、血圧が急上昇する可能性があります。

体をゆっくりとお湯に慣らしていく「かけ湯」は、血圧の乱高下を防ぐための大切な儀式だと考えてください。

【血圧にやさしい入浴手順】

  1. 必ず「かけ湯」から始める  心臓に負担をかけないよう、必ず心臓から遠い足先や手先からお湯をかけ始めましょう。

  2. 体の中心に向かってゆっくりと  足→膝→腰→お腹→胸→肩の順番で、10回以上、少し時間をかけてお湯を体に慣らしていきます。

  3. 手すりを使って静かに入る  かけ湯が終わったら、手すりなどを使ってゆっくりと浴槽に入ります。急な動きは禁物です。

  4. まずは半身浴から  最初は心臓の下あたり(みぞおち)まで浸かる半身浴から始めます。体がじんわり温まってきたら、ゆっくりと肩まで浸かりましょう。

この手順を踏むことで、血管が緩やかに拡張し、血圧の急激な変動を抑えられます。毎日のことだからこそ、ご自身の体を守るための大切な習慣としてぜひ取り入れてください。

【入浴後】急激な体温変化を防ぐ行動と水分補給

入浴中は体が温まり血管が拡張しているため、血圧は下がる傾向にあります。この状態で急に立ち上がると、重力で血液が下半身に集まり、脳への血流が一時的に不足して立ちくらみや失神を起こすことがあります。これを「起立性低血圧」と呼び、浴室内での転倒や溺水の原因となり大変危険です。

【入浴後の3つの注意点】

  • 浴槽から出る時は超スローモーションで  急に立ち上がらず、浴槽のへりや手すりにしっかりつかまり、一呼吸おいてからゆっくりと立ち上がりましょう。

  • 体を冷やさない工夫を徹底する  浴室から出たら、すぐに乾いたタオルで体の水分を拭き取りましょう。バスローブを羽織るか、暖めておいた脱衣所で素早く着替えるのが理想です。

  • 入浴後も暖かい部屋で過ごす  湯冷めは血圧を再び上昇させる原因になります。入浴後も、過ごす部屋の室温が低すぎないように注意してください。

また、入浴中は本人が気づかなくても500ml以上の汗をかいていることもあり、体は水分不足の状態です。水分が不足すると血液が濃縮され、血圧の変動に悪影響を与えたり、血栓(血の塊)ができやすくなったりするリスクが高まります。

  • 水分補給のタイミング  入浴の前と後の両方で、コップ1杯(約200ml)程度の水分を補給しましょう。
  • おすすめの飲み物  水や白湯、麦茶などが適しています。利尿作用のあるアルコールやカフェイン飲料は脱水を助長するため避けましょう。

熱いお風呂好き必見!安全に楽しむための温度と時間

「熱いお風呂でないと入った気がしない」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、高血圧の方にとって42℃以上の熱いお湯は、体を興奮させる交感神経を過度に刺激し、血圧を急上昇させるため非常に危険です。

【推奨されるお湯の温度と時間】

  • お湯の温度:38~40℃のぬるめのお湯  この温度は、体をリラックスさせる副交感神経を優位にし、心身ともに落ち着かせる効果が期待できます。
  • 入浴時間:10分程度を目安に  額や鼻の頭に汗がじんわりと出てくるくらいが、体が十分に温まり、血行が良くなったサインです。

どうしても熱めのお風呂が好きな場合は、入浴時間を5分以内にするなどの工夫でリスクを減らせますが、原則としてぬるめのお湯を推奨します。

また、入浴中の工夫だけでなく、日々の生活習慣全体で血圧をコントロールすることも、安全な入浴への第一歩です。例えば、近年の研究では、定期的な運動が腸内環境を整え、血圧に良い影響を与える可能性が示されています。腸内の特定の善玉菌が増えることで、血圧を安定させる物質が作られるという報告もあり、日々の運動が巡り巡って冬の入浴の安全にも繋がるのです。

飲酒後・食後すぐの入浴が命取りになる理由

「晩酌後の寝る前のお風呂」や「食事を終えてすぐの入浴」は、ヒートショックのリスクを著しく高める極めて危険な行為です。命に関わる事故につながる可能性があるため、絶対に避けなければなりません。

【飲酒後の入浴が危険な理由】

  • 血圧の二重の低下作用  アルコールには血管を広げ、血圧を下げる作用があります。入浴による温熱効果にも同様の作用があるため、両方が重なると血圧が下がりすぎ、意識を失って浴槽で溺れる危険性が非常に高くなります。
  • 深刻な脱水症状  アルコールの利尿作用(尿の量を増やす作用)で体は水分不足になりがちです。そこに入浴による発汗が加わると、脱水がさらに進み、血栓ができやすくなります。
  • 判断力と運動能力の低下  酔っていると足元がふらつき、体の異変にも気づきにくくなるため、転倒や発見の遅れにつながりやすくなります。

【食後すぐの入浴が危険な理由】

  • 消化器官と全身での血液の奪い合い  食後は食べ物を消化するために、血液が胃や腸などの消化器官に集中します。その状態で入浴すると、体の表面の血管が広がり、消化に使われるべき血液が全身に分散してしまいます。
  • 脳や心臓への負担増大  結果として、消化不良を起こすだけでなく、脳や心臓への血流が一時的に不足し、めまいや動悸、場合によっては失神を起こすことがあります。

安全のため、食後の入浴は最低でも1時間以上あけ飲酒後の入浴はアルコールが体から抜けるまで絶対に控えるようにしてください。

自分と家族を守るために。ヒートショックへの備えと緊急時対応

冬の入浴は一日の疲れを癒す大切な時間です。 しかし、ヒートショックという危険が潜んでいることも忘れてはいけません。 特に血圧が高い方は、急激な温度変化による血圧の乱高下が、 心臓や脳に大きな負担をかけることがあります。

しかし、正しい知識を持ち、事前に対策を講じることで、 そのリスクは大きく減らすことができます。 ご自身のため、そして大切なご家族のためにも、 万が一の事態に備えておくことは非常に重要です。

これから、一人暮らしの方の対策や緊急時の対応について、 具体的な方法を一緒に確認していきましょう。

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同居家族がいない場合のヒートショック対策

お一人で暮らしていると、入浴中に万が一のことがあったらと、 不安に感じることがあるかもしれません。 しかし、事前の準備でその不安は安心に変えることができます。 ぜひ、以下の対策をご自身の生活に取り入れてみてください。

  • 入浴前後の「声かけ」ルールを作る

    • ご家族や親しい友人に、「今からお風呂に入るよ」と電話やメッセージで知らせておきましょう。
    • さらに、「お風呂から出たら連絡する」というルールも決めておくと、より安心です。
    • 決まった時間になっても連絡がなければ、様子を確認してもらうことができます。
  • スマートウォッチや見守りサービスを活用する

    • 転倒を検知すると自動で緊急連絡先に知らせてくれる機能がついたスマートウォッチもあります。
    • また、民間の見守りサービスや緊急通報システムを利用すれば、
    • ボタン一つで助けを呼ぶことができ、大きな安心につながります。
  • 浴室のドアは鍵をかけない習慣を

    • もしもの時に、外から救助者がすぐに入れるように、浴室のドアには鍵をかけない習慣をつけましょう。
    • これは、ご自身の命を守るための重要な約束事です。
  • スマートフォンを脱衣所に持ち込む

    • 防水ケースや密閉できる袋に入れたスマートフォンを脱衣所に置いておけば、
    • 入浴中に気分が悪くなった時に、すぐに助けを呼べます。

これらの小さな備えが、いざという時にご自身の命を守る大きな力になります。

家族が倒れたら?救急車を呼ぶ判断基準と応急処置

ご家族が入浴中に倒れた場面に遭遇したら、誰でも慌ててしまうものです。 しかし、あなたの冷静な対応が生死を分けることもあります。 万が一の時のために、正しい手順を確認しておきましょう。

【ためらわずに救急車を呼ぶべき症状チェックリスト】 一つでも当てはまれば、すぐに119番通報してください。

  •  呼びかけに反応がない、または意識が朦朧としている
  •  呼吸が止まっている、または息が苦しそうでおかしい
  •  激しい胸の痛みや締め付けられる感じ、強い頭痛を訴える
  •  体の片側の手足に力が入らない、しびれている、ろれつが回らない(脳卒中のサインです)
  •  けいれんを起こしている

【救急車が来るまでにできること】

  1. 安全の確保と溺水の防止

    • 浴槽で溺れている場合は、まず浴槽の栓を抜いてお湯を抜きます。
    • これが最優先です。可能であれば浴槽から救出しますが、一人で無理は絶対にしないでください。
    • 救出が難しい場合は、お湯を抜くだけでも溺水を防げます。
  2. 気道の確保

    • 意識がない場合は、横向きに寝かせます(これを「回復体位」と呼びます)。
    • この体勢は、吐いたもので喉を詰まらせるのを防ぐために非常に重要です。
  3. 保温

    • 濡れた体を大至急拭き、毛布やバスタオルをかけて体を冷やさないようにします。
    • 体が冷えると、状態が悪化する可能性があります。

自己判断で水を飲ませたり、体を強く揺さぶったりするのは危険です。 救急隊員の到着を待ち、状況を正確に伝えられるように準備しておきましょう。

浴室暖房は必要?費用を抑えた対策グッズの選び方

ヒートショック対策として最も効果的なのは、脱衣所と浴室の温度差をなくすことです。 浴室暖房乾燥機は有効ですが、まずは手軽に始められる対策から試してみてはいかがでしょうか。

対策グッズ 特徴と医師から見た選び方のポイント
脱衣所・浴室用ヒーター 工事不要ですぐに使える小型の暖房器具です。
水回りでの使用を考え、防水性能(IPコードなどで表示)があり、
転倒時に自動で電源が切れる機能など、安全性の高いものを選びましょう。
窓用断熱シート 窓に貼るだけで外からの冷気を遮断し、室温の低下を防ぎます。
結露を防ぐ効果もあるため、カビの発生を抑え、
健康的な環境を保つのにも役立ちます。
保温性の高い浴室マット 冷たいタイルの床に直接触れるのを防ぎます。
特に足元の冷えは血圧を上げる刺激になります。
お風呂用の畳や、厚手のマットを敷くだけでも体感温度は大きく変わります。
浴槽のフタ お湯を張った後、入浴直前までフタをしておくことは非常に有効です。
お湯が冷めにくくなるだけでなく、湯気で浴室全体が暖まり、
湿度も保たれるため、理想的な入浴環境を作れます。

これらのグッズを上手に組み合わせることで、 費用を抑えながらも効果的にヒートショックのリスクを減らすことができます。

高血圧の治療薬と入浴に関する注意点

高血圧の治療で降圧薬(血圧を下げるお薬)を服用している方は、 入浴時に特に注意が必要です。 お薬の作用と入浴による血管拡張作用が重なることで、 血圧が下がりすぎてしまうことがあるからです。 これにより、めまいや立ちくらみが起こりやすくなり、転倒のリスクが高まります。

  • すべての動作を「ゆっくり」に

    • 浴槽から出る際は、急に立ち上がらないでください。
    • 手すりや浴槽のへりを使って体を支え、一呼吸おいてからゆっくりと立ち上がりましょう。
  • 長湯・熱いお湯は避ける

    • 体への負担が少ない、40℃以下のぬるめのお湯に、10分以内を目安に入浴するのがおすすめです。
  • 水分補給は入浴前後に

    • 利尿薬などを服用している場合は、入浴による発汗で脱水になりやすい状態です。
    • 入浴の前と後の両方で、コップ1杯程度の水分(水やお茶)を補給しましょう。

高血圧の治療は、こうした急な事故を防ぐだけでなく、 体を長期的に守るためにも非常に重要です。 例えば、重度の高血圧が続くと、目の奥にある繊細な血管が傷つき、 視力に影響を及ぼす「高血圧性網膜症」という病気を引き起こすこともあります。 適切なお薬の服用と血圧管理が、将来の健康を守る鍵となるのです。 お薬について不安な点があれば、自己判断で中断せず、必ず主治医や薬剤師にご相談ください。

冬場の血圧管理で不安な時に相談すべき診療科

冬は寒さで血管が収縮し、一年で最も血圧が上がりやすい季節です。 「冬になると血圧が高めになる」「薬を飲んでいても血圧の変動が大きい」 といった不安を感じたら、まずはかかりつけの医師に相談することが大切です。

また、糖尿病をお持ちの方は特に注意が必要です。 高血圧と糖尿病は、どちらも動脈硬化を進行させる大きな要因であり、 心筋梗塞や脳卒中のリスクを著しく高めます。 私たち糖尿病の専門医は、血糖値だけでなく血圧やコレステロール値も含めて総合的に管理し、 合併症を予防することを目指して治療を行います。

治療は西洋薬によるものが基本ですが、選択肢は様々です。 最近の研究では、西洋薬による治療に加え、鍼治療のようなアプローチを組み合わせることで、 1日を通した血圧の自然な変動リズム(サーカディアンリズム)を安定させるのに役立つ可能性がある、 という報告も出てきています。 ご自身の状態に合った治療法を見つけるためにも、まずは専門医に相談しましょう。 ささいなことでも構いませんので、不安な点は遠慮なくお話しください。

まとめ

今回は、冬の入浴に潜むヒートショックの危険性と、血圧が高い方が安心して入浴するための具体的な対策について詳しくご紹介しました。

ヒートショックは、暖かいリビングと寒い浴室との「急激な温度差」が引き起こす血圧の乱高下が原因です。しかし、正しい知識を持てば、決して怖いものではありません。

「入浴前に脱衣所や浴室を暖める」「お湯は40℃以下のぬるめに設定する」「かけ湯で体を慣らし、10分以内を目安に」といった簡単な工夫で、リスクは大幅に減らすことができます。

ご自身の体を守るための小さな習慣が、冬のバスタイムを安全で心安らぐひとときに変えてくれます。ぜひ、今日から一つでも実践してみてくださいね。

参考文献

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