隠れ糖尿病とは?糖尿病専門医が詳しく解説します!
健康診断で「血糖値が高め」「HbA1cが境界域」と指摘されても、自覚症状がないからと安心していませんか?その「まだ大丈夫」という思い込みこそ、気づかないうちに血管を蝕む「隠れ糖尿病」の始まりかもしれません。
この隠れ糖尿病は、通常の健康診断では見つかりにくいのが特徴です。しかし放置すれば、年間5~10%が本格的な糖尿病へ移行し、やがて心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病のリスクを高めます。食後の耐え難い眠気や倦怠感、それらは単なる疲れではなく、体が発している危険なサインなのです。
この記事では糖尿病専門医が、ご自身の体を守るためのセルフチェックから、診断に用いられる詳しい検査、今日からできる改善策までを解説します。手遅れになる前に、この静かなる脅威の正体を知り、未来の健康を守る一歩を踏み出しましょう。
もしかして隠れ糖尿病?健康診断の結果と気になる症状
健康診断の結果をご覧になり、「血糖値が高め」「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が境界域」といった指摘を受け、ご不安な気持ちでいらっしゃるかもしれません。
「特に自覚症状はないのに、なぜだろう?」と感じる方は少なくありません。しかし、症状がないからといって安心はできないのです。実は、気づかないうちに体の中では血糖値の異常が始まっている可能性があります。それが「隠れ糖尿病」、正式には「食後高血糖」と呼ばれる状態です。
ここでは、健康診断の結果だけではわからない体のサインと、ご自身でできるチェック項目について、糖尿病専門医の視点から詳しく解説していきます。ご自身の体の状態を一緒に確認し、理解を深めていきましょう。

健康診断の「HbA1c」「空腹時血糖値」だけでは見抜けない理由
会社の健康診断や特定健診では、主に朝食などを抜いた「空腹時」の血糖値を測定します。この検査は、その一瞬の状態を切り取る静止画のようなものです。そのため、その瞬間の血糖値しか評価することができません。
健康な状態から糖尿病へと移行する初期段階では、多くの場合、空腹時の血糖値は正常範囲内でも、食事をした後に血糖値が急激に上昇する「食後高血糖」が先に起こります。つまり、健康診断という「静止画」では、食事のたびに起こる血糖値の変動を捉えきれないのです。
もう一つの指標である「HbA1c」は、過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均点を表します。全体の血糖コントロール状態を把握するには役立ちますが、「平均値」であるがゆえの落とし穴があります。
例えば、食後に血糖値が急上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」と呼ばれる状態が隠れているかもしれません。血糖値の乱高下があっても、平均すると正常範囲に収まってしまうことがあるのです。空腹時血糖値やHbA1cの数値だけを見て「自分は大丈夫」と判断してしまうと、この隠れたリスクを見逃すことになります。その結果、知らないうちに血管へのダメージが蓄積してしまう恐れがあるのです。
食後の強い眠気やだるさは危険信号?自分でできる7つのセルフチェックリスト
「お昼ごはんを食べた後、仕事に集中できないほど眠くなる」「最近、どうも疲れが抜けにくい」。このような症状は、単なる疲労や睡眠不足が原因ではないかもしれません。
実は、食後の急激な血糖値の上昇(高血糖)と、その反動でインスリンが過剰に分泌されて起こる血糖値の急降下(反応性低血糖)が原因の可能性があります。血糖値がジェットコースターのように乱高下すると、体は必死に対応しようとするため、大きな負担がかかります。その結果、強い眠気や倦怠感として症状が現れるのです。これは、体が発している重要なサインかもしれません。
ご自身の生活を振り返り、当てはまるものがないか確認してみましょう。
【隠れ糖尿病セルフチェックリスト】
- □ 食後、特に昼食後に耐えられないほどの眠気に襲われる
- □ 最近、理由もなく体がだるく、疲れやすいと感じる
- □ 甘いものや炭水化物を無性に食べたくなるときがある
- □ 食事をしても、すぐにお腹が空いてしまう
- □ のどが渇きやすく、以前より水分を多く摂るようになった
- □ 集中力が続かず、仕事や家事でぼーっとすることが増えた
- □ 体重が増えやすくなった、またはお腹周りの脂肪が気になる
これらの項目に複数当てはまる方は、隠れ糖尿病の可能性も考えられます。気になる症状があれば、決して放置せず、一度専門医にご相談ください。
親族に糖尿病患者がいる場合の遺伝リスクと生活習慣の重要性
「両親が糖尿病だから、自分もいずれ発症するのでは…」と心配されている方もいらっしゃるでしょう。確かに、2型糖尿病の発症には遺伝的な要因が関わっています。
ご家族に糖尿病の方がいる場合、血糖値を下げる唯一のホルモンである「インスリン」が分泌されにくい、あるいは効きにくいといった「糖尿病になりやすい体質」を受け継いでいる可能性があります。
しかし、ここで最も大切なのは、「遺伝的体質があるからといって、必ず糖尿病を発症するわけではない」という点です。糖尿病の発症は、遺伝という”土台”の上に、食生活の乱れ、運動不足、肥満、ストレスといった”生活習慣”の要因が積み重なって引き起こされます。
つまり、ご自身の遺伝的なリスクを正しく理解した上で、若いうちからバランスの取れた食事や適度な運動を心がけることが、何よりの発症予防策となります。リスクを知っているからこそ、早期から対策を打てるのです。これは、むしろ強みであると前向きに捉え、生活習慣の改善に取り組んでいきましょう。
隠れ糖尿病になりやすい人の職業や生活スタイルの特徴
隠れ糖尿病は、特別な誰かだけがなる病気ではありません。日々の何気ない生活習慣が、知らず知らずのうちに血糖値に大きな負担をかけている可能性があります。以下のような特徴に心当たりはありませんか?
| カテゴリ | 具体的な生活スタイル・特徴 |
|---|---|
| 食生活 | ・食事時間が不規則で、特に朝食を抜きがち ・早食いや「ドカ食い」をしてしまう癖がある ・丼もの、麺類、パンなど糖質の多い食事が中心 ・夜遅い時間に夕食や間食をとることが多い |
| 運動習慣 | ・デスクワークが中心で、1日のほとんどを座って過ごす ・通勤や移動で歩く機会が少ない(車移動が多い) ・エレベーターやエスカレーターを無意識に利用する ・定期的な運動習慣がまったくない |
| 体型・その他 | ・BMIが25以上、または健康診断で腹囲を指摘された ・仕事や人間関係などで強いストレスを日常的に感じている ・睡眠時間が短い、または眠りの質が悪いと感じる |
これらの生活習慣は、インスリンの働きを悪くする「インスリン抵抗性」という状態を引き起こす原因となります。特に、お腹周りに脂肪がつく内臓脂肪型肥満は、インスリンの効きを直接的に低下させてしまうため注意が必要です。
もし当てはまる項目が多いと感じても、落ち込む必要はありません。ご自身の生活習慣のリスクに気づけた今が、未来の健康のために生活を見直す絶好の機会です。できることから一つずつ、一緒に改善していきましょう。
隠れ糖尿病を確定させる精密検査と診断の全ステップ
健康診断で「血糖値が高め」と指摘されたり、ご自身で気になる症状があったりすると、「もしかして隠れ糖尿病かも?」とご不安になりますよね。
隠れ糖尿病は、健康診断で行われる空腹時の採血だけでは見つけることが難しいのが特徴です。しかし、ご安心ください。適切な精密検査を受ければ、現在の体の状態を正確に把握し、早期に対策を始めることができます。
ここでは、隠れ糖尿病を確定させるための検査と診断のステップについて、糖尿病専門医が一つひとつ丁寧に解説します。

ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは?費用・所要時間・当日の流れを解説
隠れ糖尿病(食後高血糖)の診断に用いられる主要な検査が、「75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」です。
これは、食事の代わりとなるブドウ糖が入った甘い液体を飲み、血糖値が時間とともにどう変化するかを調べる検査です。健康診断の血糖値測定がいわば「静止画」なのに対し、この検査では血糖値の変動という「動画」を見ることができます。
この検査では、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の分泌能力や効き具合(インスリン抵抗性)まで詳しく評価できるため、隠れ糖尿病の診断に非常に有効です。
■このような方に推奨される検査です
- 健康診断で血糖値(110mg/dL以上)やHbA1c(6.0%以上)が高めと指摘された方
- 尿検査で糖が検出された(尿糖陽性)方
- ご家族に糖尿病の方がいて、ご自身の体質が心配な方
- 食後の強い眠気やだるさなどの自覚症状がある方
■検査当日の流れと所要時間
- ご来院・空腹時採血
前日の夜9時以降は絶食の状態でご来院いただき、まず空腹時の血糖値を測るための採血を行います。 - ブドウ糖液の摂取
75gのブドウ糖が入ったトレーランGという検査薬(サイダーのような味で、量は約225ml)を5分以内に飲み干していただきます。 - 時間をおいて採血
ブドウ糖液を飲んだ後、30分後、1時間後、2時間後のタイミングで再度採血を行います。検査中は安静にお過ごしいただきます。
検査は受付から終了まで合計で3時間ほどかかります。費用は保険適用で3割負担の場合、3,000円〜4,000円程度が目安です。
痛くない血糖値測定「リブレ」でわかる日常生活での血糖変動
ブドウ糖負荷試験(OGTT)は非常に有用な検査ですが、あくまで検査日という特別な一日の血糖変動しかわかりません。
そこで、普段の生活におけるリアルな血糖値の動きを「見える化」するために役立つのが、持続血糖測定器(リブレ)です。
リブレは、500円玉ほどの大きさのセンサーを腕に貼り付けるだけで、24時間自動で血糖値を測定し続けてくれる機器です。指先を針で刺す痛みがなく、スマートフォンなどをセンサーにかざすだけで、いつでも好きな時に血糖値を確認できます。
■リブレで「見える化」できること
- 食後の血糖スパイク
どんな食事をすると血糖値が急上昇するかが一目でわかります。 - 運動の効果
運動の種類やタイミングによって血糖値がどう変化するかを確認できます。 - 睡眠中の血糖値
自分では気づけない夜間や早朝の血糖値の動きも把握できます。
日常生活の血糖変動を知ることで、「なぜ血糖値が上がるのか」をご自身で納得しながら、食事や運動の工夫ができます。当院では、リブレのデータをもとに専門医が具体的なアドバイスを行い、無理なく続けられる生活習慣の改善をサポートします。保険適用には条件がありますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
検査結果の見方と「正常型」「境界型」「糖尿病型」の分かれ道
ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果は、「空腹時血糖値」と「2時間後血糖値」の2つの数値をもとに、以下の3つのタイプに分類されます。
ご自身の状態がどこに当てはまるのかを正しく理解することが、次のステップに進むためにとても大切です。
| 判定 | 空腹時血糖値 | 2時間後血糖値 |
|---|---|---|
| 正常型 | 110mg/dL未満 | かつ 140mg/dL未満 |
| 糖尿病型 | 126mg/dL以上 | または 200mg/dL以上 |
| 境界型 | 上記の「正常型」「糖尿病型」のどちらにも当てはまらない |
■それぞれのタイプの意味
- 正常型
現時点では血糖値をコントロールする力に問題がない状態です。ただし、今後の生活習慣によっては変化する可能性もあります。 - 境界型
いわゆる「糖尿病予備群」です。まだ糖尿病ではありませんが、血糖値が正常よりも高い状態が続いており、放置すると将来的に糖尿病へ進行する可能性が高い段階です。しかし、この段階で生活習慣を見直せば、正常型に戻れる可能性も十分にある、非常に重要な時期です。 - 糖尿病型
血糖値を下げる力が著しく低下している状態です。この検査結果が確認された場合、他の検査結果と合わせて総合的に判断し、糖尿病の確定診断に至ることがあります。
※妊娠中の方は、お腹の赤ちゃんへの影響を考慮し、より厳しい基準で「妊娠糖尿病」の診断が行われます。
専門医を受診すべきタイミングと初診で聞かれること
「検査結果が境界型だった」「健康診断で指摘されたけど、何科に行けばいいの?」と迷われる方も多いと思います。血糖値の異常を指摘されたら、ぜひ一度、糖尿病を専門とする内科にご相談ください。
■受診をおすすめするタイミング
- 健康診断で空腹時血糖値やHbA1cの異常を指摘された
- ブドウ糖負荷試験で「境界型」または「糖尿病型」と判定された
- 食後の強い眠気や喉の渇き、頻尿などの気になる症状がある
- ご家族に糖尿病の方がいて、ご自身の体質が心配
糖尿病は初期には自覚症状がほとんどなく、静かに進行する病気です。専門医は、数値だけではわからない患者さん一人ひとりの体の状態や生活背景を考慮して、最適な治療方針を一緒に考えていきます。
■初診でうかがうこと
初診では、リラックスしてお話しいただけるよう、以下のようなことをお伺いします。これは、あなたに合った最適な改善策を一緒に見つけるために必要な情報です。
- 気になっている症状や健康診断の結果について
- これまでの病気や、ご家族の病気(特に糖尿病)について
- 普段の食事内容や運動習慣、お仕事などの生活スタイル
- 現在飲んでいるお薬(お薬手帳があればお持ちください)
健康診断の結果票をお持ちいただくと、よりスムーズに診療が進みます。どんな些細なことでも構いませんので、ご不安な点はお気軽にご質問ください。
今日から始める隠れ糖尿病の改善プランと治療の選択肢
健康診断で「隠れ糖尿病の疑い」や「境界型」と指摘された方は、大きな不安を感じていらっしゃるかもしれません。しかし、これはご自身の体と向き合い、未来の健康のために生活を見直す絶好の機会です。
この段階であれば、多くの場合、すぐに薬による治療を始める必要はありません。治療の主役は、あくまでご自身の生活習慣、つまり「食事」と「運動」の改善です。今ここから対策を始めることで、本格的な糖尿病への進行を防ぎ、5年後、10年後の健康を守ることができます。一緒に、あなたに合った改善プランを見つけていきましょう。

厳しい食事制限は不要-血糖値をコントロールする食べ方のコツと具体例
隠れ糖尿病の改善において、食事は非常に重要です。「あれもこれも食べてはいけない」という厳しい食事制限は、かえってストレスとなり長続きしません。大切なのは、血糖値の急上昇を抑える「食べ方のコツ」を身につけることです。
まず今日から実践できるのが、食べる順番を意識することです。「ベジタブルファースト」とも呼ばれ、以下の順番で食べることをお勧めします。
- 最初: 野菜、きのこ、海藻類(食物繊維が豊富なおかず)
食物繊維が先にお腹に入ることで、後から入ってくる糖質の吸収スピードを穏やかにし、食後の血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。 - 次: 肉、魚、卵、大豆製品(たんぱく質や脂質が主なおかず)
たんぱく質や脂質も、糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。 - 最後: ご飯、パン、麺類(糖質を多く含む主食)
最後に食べることで、全体的な食事の満足感を保ちながら、血糖値の変動を小さくすることができます。
また、日々の食事では以下のポイントも心がけてみてください。少しの工夫が、大きな変化につながります。
| 項目 | 具体的な工夫とポイント |
|---|---|
| 主食の選び方 | 白米を玄米やもち麦ごはんに、食パンを全粒粉パンやライ麦パンに変える。 これらは食物繊維が豊富で、血糖値の上昇が緩やかな「低GI食品」です。 |
| 調理法 | 「揚げる」「炒める」よりも「蒸す」「茹でる」「焼く」といった、油の使用量が少ない調理法を選びましょう。 |
| 間食の工夫 | スナック菓子やケーキの代わりに、ナッツ、無糖ヨーグルト、チーズなどを選ぶ。 果物はビタミンも豊富ですが糖質も含むため、食べ過ぎには注意が必要です。 |
| 飲み物の選択 | 甘いジュースや加糖コーヒーは急激に血糖値を上げます。普段の水分補給は、水やお茶を基本にしましょう。 |
このほか、「一口30回」を目安によく噛んでゆっくり食べることも大切です。満腹感を得やすくなり、食べ過ぎを防ぐ効果があります。まずは無理なく続けられることから、一つずつ試していきましょう。
忙しい人でも無理なく続く-効果的な運動のタイミングと種類
「仕事が忙しくて運動する時間がない」と感じる方は多いでしょう。隠れ糖尿病の改善のための運動は、毎日ジムに通うような特別なものである必要はありません。日常生活の中に運動を組み込むだけで、十分に効果が期待できます。
運動の最も効果的なタイミングは、食後30分から1時間後です。食事によって血液中に増えた糖(ブドウ糖)を、運動によって筋肉がエネルギーとして効率よく消費してくれるため、食後高血糖を直接的に抑えることができます。
具体的には、2種類の運動を組み合わせるのが理想的です。
-
有酸素運動(血糖値を下げる効果)
血液中の糖を直接エネルギーとして使い、血糖値を下げる効果があります。- ウォーキング:まずは「食後に10分歩く」ことから。通勤時に一駅手前で降りて歩く、エレベーターを階段にするなども有効です。
- 軽いジョギングやサイクリング
-
レジスタンス運動(筋トレ:インスリンの効きを良くする体質改善効果)
筋肉量を増やすことで、インスリンの効きが良い体質(インスリン感受性の改善)を目指します。- スクワット:太ももなどの大きな筋肉を鍛えるのに効果的です。テレビを見ながらでも行えます。
- かかとの上げ下ろし運動:立ったまま、つま先立ちを繰り返す簡単な運動です。
まずは「今より10分多く体を動かす」ことを目標にしてみましょう。例えば、食後に軽い散歩をするだけでも血糖値の上がり方は大きく変わります。目標は週に合計150分程度の運動ですが、焦らずご自身のペースで継続することが何よりも大切です。
放置した場合の5年後、10年後のリスクと合併症の真実
隠れ糖尿病は自覚症状がほとんどないため、「まだ大丈夫だろう」と軽く考えてしまう方も少なくありません。しかし、その「大丈夫」と思っている間にも、水面下では静かに体へのダメージが進行している可能性があります。
まず知っておいていただきたいのは、隠れ糖尿病(境界型)と診断された方のうち、年間約5~10%の方が本格的な2型糖尿病へ移行するという研究報告があることです。10年後には、半数以上の方が糖尿病になっている計算になります。
さらに深刻なのは、食後の高血糖が繰り返されることで血管の内壁が少しずつ傷つけられ、動脈硬化が進行してしまうことです。動脈硬化は、心筋梗塞や脳梗塞といった、命に関わる病気の直接的な原因となります。
もし本格的な糖尿病に進行してしまうと、糖尿病に特有の合併症が現れるリスクが格段に高まります。
| 合併症の種類 | 影響を受ける血管 | 主な症状・将来のリスク |
|---|---|---|
| 細い血管の障害 | 糖尿病網膜症 | 目の奥の血管が傷つき、視力低下やかすみが生じ、進行すると失明に至る可能性があります。 |
| 糖尿病腎症 | 腎臓のフィルター機能が低下し、むくみが出現。進行すると人工透析が必要になります。 | |
| 糖尿病神経障害 | 手足のしびれや痛み、感覚の鈍化(足の裏に紙が貼ってあるような感覚など)が起こります。 | |
| 太い血管の障害 | 動脈硬化の進行 | 心臓の血管が詰まる心筋梗塞、脳の血管が詰まる・破れる脳梗塞、足の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症などを引き起こします。 |
これらの合併症は、一度進行してしまうと元の健康な状態に戻すことは非常に困難です。しかし、隠れ糖尿病の段階で気づき、適切な対策を始めることで、これらの恐ろしい未来のリスクを大幅に減らすことができます。
「境界型」という診断は、決して手遅れではありません。むしろ、将来の健康を守るための最後のチャンスを与えられた、と前向きに捉えることが大切です。ご自身の体のサインを見逃さず、ぜひ一度専門医にご相談ください。
まとめ
今回は、健康診断の結果だけではわからない「隠れ糖尿病」について、そのサインや対策を詳しく解説しました。食後の強い眠気や倦怠感は、見過ごしてはいけない体からの危険信号かもしれません。この状態を放置すると、本格的な糖尿病へと進行し、将来的に心筋梗梗塞や脳梗塞といった深刻な病気につながる恐れがあります。
しかし、隠れ糖尿病の段階で生活習慣を見直せば、健康な状態に戻れる可能性は十分にあります。「境界型」という診断は、未来の健康を守るための重要な転機と言えます。まずは食事の順番を工夫する、食後に10分歩くなど、ご自身にできることから始めてみませんか。ご自身の状態が気になる方や、何から始めればよいか不安な方は、決して一人で悩まず、お気軽に専門医へご相談ください。
