食事制限しても痩せない…。その「体重増加」、橋本病(甲状腺機能低下症)が原因かもしれません|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

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医療コラム

食事制限しても痩せない…。その「体重増加」、橋本病(甲状腺機能低下症)が原因かもしれません|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

食事制限しても痩せない…。その「体重増加」、橋本病(甲状腺機能低下症)が原因かもしれません

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食事の量を減らし、運動も頑張っているのに、なぜか体重が増えていく…。「もう年齢のせいかな」と、諦めかけてはいませんか?その原因不明の体重増加や、いつも取れない慢性的なだるさは、あなたの努力不足や気のせいではないかもしれません。

実はその不調、成人女性の約10人に1人がかかるとも言われる「橋本病(甲状腺機能低下症)」という病気が隠れているサインの可能性があります。この病気は体のエネルギー代謝を司る甲状腺の働きを低下させ、知らず知らずのうちに体を痩せにくい「省エネモード」にしてしまうのです。

この記事では、なぜ食事制限をしても痩せにくくなるのか、その医学的なメカニズムから具体的な治療法までを詳しく解説します。ご自身の体を正しく理解し、つらい不調から抜け出すための第一歩を踏み出してみませんか。

まずはセルフチェック 橋本病(甲状腺機能低下症)のサイン

「食事を減らしても体重が増える」「ちゃんと寝ているのに、いつも体が重くてだるい」。

こんなお悩みはありませんか?

年齢のせい、あるいは気のせいだと見過ごしがちなその不調は、もしかしたら甲状腺の病気が隠れているサインかもしれません。まずはご自身の体と心の状態を、一緒に振り返ってみましょう。

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体重増加だけじゃない こんな症状はありませんか?

橋本病による甲状-腺機能の低下は、体重が増えるだけでなく、全身にさまざまな変化をもたらします。

甲状腺ホルモンは、いわば「全身の細胞の新陳代謝をうながすアクセル」のようなもの。このホルモンが足りなくなると、体全体の活動が鈍い「省エネモード」に切り替わり、ゆっくりと不調が現れ始めます。

以下のリストで、ご自身に当てはまるものがないか確認してみてください。

【全身にあらわれるサイン】

  • 疲れやすい、いつもだるい(倦怠感)
  • 食事量は変わらないのに体重が増える
  • 顔や手足がむくみやすい
  • 以前より寒がりになった
  • 筋力が落ちた、肩こりがひどい
  • 便秘がち
  • 脈がゆっくりになる
  • LDL(悪玉)コレステロール値が高くなる

【見た目の変化】

  • 皮膚がカサカサと乾燥する
  • 髪の毛が抜ける、パサつく
  • 声がかすれる
  • 眉毛の外側が薄くなる
  • 爪がもろくなる

【心や頭のサイン】

  • 気力がわかない、気分が落ち込む(抑うつ)
  • 物忘れが多くなった(記憶力の低下)
  • 日中も強い眠気を感じる

これらの症状は一つひとつが他の病気にも見られるため、うつ病や更年期障害、認知症などと間違われてしまうことも少なくありません。

「怠けている」は誤解です 体が発するSOSを見逃さないで

「もっと頑張れるはずなのに、体がついてこない」
「周りから、怠けていると思われているかもしれない」

もしあなたがそう感じているなら、それは大きな誤解です。橋本病による心と体の不調は、あなたの「気の持ちよう」や「努力不足」が原因ではありません。

これは、体のエネルギーを作り出す司令塔である甲状腺ホルモンが不足することで起こる、医学的な問題です。アクセルを踏みたくても踏めない状態なので、意志の力だけでどうにかなるものではないのです。

症状はゆっくりと進行するため、「いつものこと」と慣れてしまいがち。しかし、それはあなたの体が発している、見過ごしてはいけない大切なSOSサインです。ご自身を責めずに、まずはその声に耳を傾けてあげることが、回復への何より大切な第一歩になります。

自分の症状が当てはまるか確認する

「もしかして自分も…?」と、不安に思われたかもしれません。

しかし、橋本病は決して珍しい病気ではなく、成人女性の約10人に1人、成人男性の約40人に1人にみられると言われています。特に30代〜40代の女性に多い傾向があります。

ただし、知っておいていただきたい大切なことがあります。それは、橋本病と診断された方すべてが、すぐに甲状腺機能の低下をきたすわけではないということです。多くの方は、甲状腺の機能が正常なまま穏やかに経過します。

とはいえ、以下の項目に複数当てはまる場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。

  • 理由のわからない体重増加やむくみがある
  • 以前より明らかに疲れやすくなった
  • 異常なほどの冷えを感じるようになった
  • 気分の落ち込みが続いている

これらの症状は、適切な治療で改善が期待できます。一人で抱え込まず、まずは私たち専門家と一緒に、その不調の原因を探ってみませんか。

なぜ食事制限しても痩せない?甲状腺ホルモンと代謝の仕組み

「食事の量を減らして頑張っているのに、体重計の数字は増える一方…」
「前と同じように運動しても、まったく痩せる気配がない…」

もしあなたがそんな風に感じているなら、決してご自身の努力不足を責めないでください。その「痩せにくさ」は、体のエネルギー効率をコントロールしている「甲状腺ホルモン」の不足が原因かもしれません。

甲状腺ホルモンが減ると、なぜ体重が増えやすくなるのか。その体の内側で起きているメカニズムを、一緒にひも解いていきましょう。

体が「省エネモード」になるメカニズム

私たちの体を車にたとえるなら、甲状腺ホルモンはエンジンの回転数を上げる「アクセル」のような存在です。このホルモンが全身の細胞に行きわたることで、私たちはエネルギーを効率よく燃焼させ、活動的に過ごすことができます。

ところが、橋本病などで甲状腺機能が低下すると、このアクセルが十分に踏み込めない状態に陥ります。体はエネルギーの無駄遣いを防ごうと、自動的に「省エネモード」に切り替わってしまうのです。

この省エネモードの正体は、「基礎代謝」の低下です。

基礎代謝とは、心臓を動かしたり呼吸をしたりと、じっと安静にしている時でも消費される最低限のエネルギーのこと。甲状腺機能が低下すると、この基礎代謝が10〜15%ほど落ちることがあります。

例えば、基礎代謝が1200kcalの女性の場合、10%低下するだけで1日に約120kcal(ごはんお茶碗に軽く一杯分)ものエネルギーが消費されずに余ってしまう計算になります。

これまでと同じ食事を続けているだけで、毎日ごはん一杯分のカロリーが体に蓄積されていく…。これが、食事制限をしても痩せにくくなる、大きな理由の一つです。

むくみによる体重増加との見分け方

橋本病による体重増加の犯人は、脂肪だけではありません。もう一つの大きな原因が、特有の「むくみ」です。

甲状腺ホルモンが不足すると、「ムコ多糖類」というネバネバした保水成分の分解が滞り、皮膚の下に溜まってしまいます。このムコ多糖類がスポンジのように水分を抱え込むため、体全体がむくんでしまうのです。

このむくみには、一般的なむくみとは違う、次のような特徴があります。

  • 指で押しても跡が残りにくい
  • 顔やまぶたが腫れぼったくなる
  • 舌が厚ぼったく感じ、少し喋りにくくなる
  • 声がかすれる
  • 昔はめていた指輪や靴がきつくなる

特に、指で押してもへこんだ跡が残りにくい(専門的には「非圧痕性浮腫(ひあっ こんせいふしゅ)」といいます)のが、大きな見分け方のポイントです。

このむくみは数キロ単位で体重を増やすこともあり、脂肪の蓄積と相まって、体重増加をさらに加速させてしまうのです。

基礎代謝の低下が体重に与える影響

基礎代謝が低下すると、単に消費カロリーが減るだけにとどまりません。体の中では、さらに痩せにくさを助長する、好ましくない変化が起こり始めます。

1. 筋肉が減り、脂肪が燃えにくい体になる

甲状腺ホルモンには、古くなった細胞を壊し、新しい細胞を作る「たんぱく質の合成」を促す働きもあります。ホルモンが不足すると、筋肉を作り出す力も弱まってしまいます。

筋肉量が減る → 基礎代謝がさらに低下する → ますます痩せにくくなる

このような負のスパイラルに陥ることで、「体重はさほど変わらないのに、体つきがたるんできた」と感じる方も少なくありません。

2. 糖尿病のリスクを高める可能性

これは特に注意していただきたい点です。甲状腺機能の低下は、血糖値を下げる唯一のホルモンである「インスリン」の効きを悪くする**「インスリン抵抗性」**という状態を引き起こすことがあります。

インスリンが効きにくくなると、体は血糖値を下げようと、より多くのインスリンを分泌するようになります。この状態が長く続くと、すい臓が疲弊してしまい、将来的に糖尿病を発症するリスクを高めることにつながりかねません。

「痩せにくい」というお悩みは、実は体からの重要なSOSサイン。その背景にある代謝の問題をきちんと治療することが、将来の生活習慣病予防にもつながるのです。

橋本病の診断から治療までの流れ

「私のこの不調、もしかして橋本病かも…」
そう感じたとき、次にどうすればいいのか、不安に思うのは当然のことです。

しかし、ご安心ください。橋本病は、正しい手順で検査を受け、適切な治療を行えば、症状をコントロールできる病気です。

原因がわからないまま悩み続けるよりも、まずは専門家に相談し、ご自身の体の状態を正確に知ることが、心穏やかな毎日を取り戻すための第一歩になります。

ここでは、診断から治療開始までの一連の流れを、一つひとつ丁寧に解説していきます。

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何科を受診すればいい?まずは内分泌内科へ

橋本病が疑われる多彩な症状。一体、何科の扉を叩けばいいのでしょうか。

結論から言うと、まずは「内分泌(ないぶんぴつ)内科」を受診することをおすすめします。

内分泌内科は、甲状腺ホルモンをはじめとする、体中のさまざまなホルモンの異常を専門的に診る診療科です。

橋本病の症状は、倦怠感や体重増加、気分の落ち込みなど、非常に多岐にわたります。そのため、時に更年期障害やうつ病、あるいは単なる「疲れ」と見分けがつきにくいことも少なくありません。

だからこそ、全身のバランスを整えるホルモンの専門家である内分泌内科医が、症状の全体像をみて的確に診断することが重要なのです。

もちろん、かかりつけの内科でご相談いただくことも可能です。その上で、より詳しい検査や治療が必要と判断された場合は、専門医を紹介される流れになります。

原因がわからず不安な日々を過ごしている方は、ぜひ一度、私たちのような甲状腺を専門とするクリニックにご相談ください。

血液検査と超音波検査でわかること

橋本病の診断は、主に「血液検査」と、首にゼリーを塗って器械をあてる「甲状腺超音波(エコー)検査」という、体への負担が少ない2つの検査を組み合わせて行います。

これらの検査で、甲状腺が今どんな状態にあるのかを詳しく調べることができます。

検査の種類 この検査で、主に何がわかる?
血液検査 ①甲状腺の機能:体のアクセル役である甲状腺ホルモンが足りているか、逆に脳からの「もっと働け」という指令(TSH)が出すぎていないかを調べ、**「甲状腺機能低下症」**に陥っているかを確認します。
②橋本病の原因:自分の甲状腺を異物と間違えて攻撃してしまう「自己抗体」の有無を調べ、橋本病かどうかの確定診断につなげます。
③体への影響:代謝の低下によって、LDL(悪玉)コレステロール値などが高くなっていないかも同時にチェックします。
超音波検査 ①甲状腺の見た目:甲状腺全体が腫れていないか、大きさや形に異常はないかを確認します。
②甲状腺の内部:慢性的な炎症によって、甲状腺の内部がどんな状態になっているかを観察します。また、しこり(腫瘍)が隠れていないかも、この検査で詳しくみることができます。

これらの検査結果を総合的に判断することで、あなたの不調の原因が橋本病によるものなのか、そして今すぐに治療が必要な状態なのかを正確に診断していきます。

治療薬(チラーヂンS)の効果と副作用

血液検査の結果、甲状腺ホルモンが不足している「甲状腺機能低下症」の状態であると診断された場合は、お薬による治療を開始します。

治療の目的は非常にシンプルです。
足りなくなっている甲状腺ホルモンを、お薬で補うこと。

用いるのは「チラーヂンS(一般名:レボチロキシンナトリウム)」というお薬です。これは、もともと体の中の甲状腺で作られているホルモンと全く同じ成分でできています。

つまり、何か異物を体に入れるのではなく、不足している栄養素をサプリメントで補うようなイメージに近い治療です。

そのため、血液検査で体の状態を確認しながら医師の指導のもと、一人ひとりに合った適切な量を服用することで、副作用のリスクを管理しながら治療を進めることができます。

このお薬を毎日きちんと飲み続けることで、低下していた体の「省エネモード」が解除され、

  • 体重が少しずつ落ちやすくなる
  • つらい倦怠感が和らぐ
  • むくみが取れて顔つきがスッキリする
    といった症状の改善が期待できます。

ただし、効果を実感できるまでには数週間から数ヶ月かかることが一般的です。焦らず、ご自身の体の声に耳を傾けながら、医師の指示通りに治療を続けていくことが何よりも大切になります。自己判断でお薬の量を調整したり、中断したりしないようにしましょう。

治療中に実践したいダイエット 3つのポイント

お薬による治療が始まると、体の「省エネモード」が少しずつ解除され、以前よりも体重をコントロールしやすくなってきます。

ただし、薬を飲めば自動的に体重が落ちるわけではありません。

ここからは、治療の効果を最大限に引き出し、健康的な体を取り戻すための3つの生活習慣のコツを、一緒に確認していきましょう。

焦らず、ご自身の体と相談しながら、できることから始めてみてください。

食事 ヨウ素(昆布など)の摂りすぎに注意

橋本病の治療中の食事で、特別に食べてはいけないものはありません。基本は、さまざまな食材をバランス良く食べることです。

ただし、たった一つだけ、意識して「摂りすぎ」を避けていただきたい栄養素があります。
それが、甲状腺ホルモンの材料となる**「ヨウ素(ヨード)」**です。

材料なのだから、たくさん摂った方が良いのでは?と思われるかもしれません。しかし、ヨウ素は過剰に摂取すると、かえって甲状-腺の働きを抑え込んでしまう性質があるのです。

特に、以下のような習慣がある方は少し見直してみましょう。

  • 昆布でとった出汁を、毎日お味噌汁や煮物で大量に摂取している
  • 健康食品として、とろろ昆布や根昆布などを毎日食べている
  • ヨウ素(ポビドンヨード)が含まれるうがい薬を日常的に使っている

とはいえ、過度に神経質になる必要はありません。和食に欠かせない昆布やわかめ、のりといった海藻類は、普通に食事で楽しむ分には全く問題ありません。

むしろ大切なのは、体を作る基本となる**タンパク質・脂質・炭水化物のバランス(PFCバランス)**を整えることです。筋肉を維持して代謝を落とさないためにも、お肉や魚、大豆製品などから良質なタンパク質をしっかり摂ることを意識してみてください。

運動 倦怠感があっても続けられるスローペースな運動

「体が重くて、運動なんてとてもできない…」

治療を始めたばかりの頃は、そう感じるのが当たり前です。つらい倦怠感があるときは、何よりも体を休めることを最優先してください。無理は禁物です。

治療が進み、少しずつ「動けるかも」と思える日が増えてきたら、体に負担の少ないスローペースな運動から試してみましょう。

【体調が良い日に試したい、おすすめの運動】

  • ウォーキング
    まずは1日15分、近所を散歩するくらいから。慣れてきたら、少し早歩きで30分程度を目標にしてみましょう。
  • ストレッチやヨガ
    凝り固まった筋肉をほぐし、血行を良くするだけでも体は楽になります。心と体のリラックスにもつながります。
  • 水中ウォーキング
    水の浮力が関節への負担を和らげてくれるため、体重が気になる方でも楽に体を動かせます。

大切なのは、一度に激しい運動をすることではありません。心地よいと感じるくらいのペースで、長く続けていくことです。

運動は、単にカロリーを消費するだけでなく、筋肉量を維持し、基礎代謝がさらに落ちるのを防ぐという重要な役割も担っています。

ご自身の体とじっくり対話しながら、楽しめることを見つけていきましょう。

記録 治療効果と体重の変化を可視化する

治療中のダイエットを力強くサポートしてくれるのが、「記録をつける」という習慣です。

これは、ご自身を追い詰めるためのものではありません。むしろ、ご自身の頑張りや体の変化を「見える化」し、治療へのモチベーションを維持するための心強い味方になります。

【記録で「見える化」したい3つのこと】

  1. 体重・体組成
    毎日同じ時間に体重計に乗る習慣を。可能であれば、筋肉量や体脂肪率も測れる体組成計がおすすめです。数字の変化が励みになります。
  2. 食事の内容
    スマートフォンアプリなどを活用して、2〜3日だけでも食べたものを記録してみましょう。「思ったより脂質が多かった」「タンパク質が足りていなかった」など、食事の偏りを見直す良いきっかけになります。
  3. その日の体調
    「今日は調子が良い」「少しむくんでいる気がする」など、簡単なメモで構いません。体重の変化と体調の関連が見えてくると、対策も立てやすくなります。

記録を続けることで、治療によってご自身の体がどう変わっていくのかが客観的に分かります。

まるでパズルを解くような感覚で、ご自身の体と向き合う時間を楽しんでみてください。記録した内容は、診察の際に私たちに見せていただけると、より的確なアドバイスにもつながります。

治療後の見通しと生活上の注意点

橋本病(甲状腺機能低下症)と診断され、これからの生活に不安を感じていらっしゃるかもしれません。

しかし、必要以上に心配しなくても大丈夫です。

この治療のゴールは、病気と闘うことではありません。足りなくなった甲状腺ホルモンをお薬で適切に補い、低下してしまった代謝の働きを元に戻すことで、病気になる前と変わらない、活動的で快適な毎日を取り戻すことです。

あなたの体が本来持っている元気を取り戻すために、私たちが全力でサポートします。一緒に、穏やかな日々を目指していきましょう。

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薬を飲み始めたらいつから効果が出る?

治療を始めると、まず気になるのが「いつになったら楽になるの?」ということだと思います。

治療に使う甲状腺ホルモン薬(チラーヂンS)は、体への負担が少ないお薬ですが、飲んですぐに劇的な変化が現れるわけではありません。

このお薬は、血液の中での濃度が安定するまでに少し時間がかかります。毎日コツコツと飲み続けることで、体の中のホルモンバランスが徐々に整っていきます。

治療を開始すると、体内のホルモンバランスが徐々に整い、だるさやむくみといった症状の改善が期待されます。効果の現れ方には個人差がありますが、医師の指示に従い治療を継続することが大切です。

焦りは禁物です。まずは体調を万全に整えることが、結果的に健康的なダイエットへの一番の近道になります。ご自身の体の小さな変化に耳を傾けながら、医師の指示通りに着実に治療を続けていきましょう。

妊娠・出産への影響と遺伝の可能性

妊娠や出産を希望されている方にとって、病気が赤ちゃんに与える影響は、何よりの心配事かと思います。

ご安心ください。甲状腺ホルモン値がきちんとコントロールされていれば、橋本病であっても問題なく妊娠・出産が可能です。

むしろ、お腹の赤ちゃんの脳や体が健やかに発育するためには、甲状腺ホルモンが不可欠です。妊娠中は通常よりも多くのホルモンが必要になるため、**妊娠を考え始めた段階から、お薬でホルモン値を安定させておくことが、お母さんと赤ちゃんの両方にとっての「安心材料」**になります。

また、遺伝について心配される方もいらっしゃいます。
橋本病は、病気そのものが遺伝するわけではなく、あくまで「自己免疫疾患になりやすい体質」がご家族に受け継がれる可能性はあります。

ただし、体質を受け継いだ方が必ず発症するわけではありませんし、発症しない方のほうがずっと多いです。過度に心配なさらず、「ご家族に同じ病気の人がいる場合は、似た症状が出たときに早く気づける」という前向きな知識として、心に留めておくと良いでしょう。

病気と上手く付き合いQOLを上げるために

橋本病(甲状腺機能低下症)は、多くの場合、人生を共に歩んでいくパートナーのような病気です。

しかし、悲観的になる必要は全くありません。いくつかのポイントを押さえて上手に関わっていくことで、生活の質(QOL:クオリティ・オブ・ライフ)を高く保つことができます。

そのための鍵は、次の3つです。

  1. お薬を「お守り」のように続けること
    最も大切なのは、自己判断でお薬をやめないことです。「体調が良くなったから」と感じるのは、まさにお薬が効いてホルモンバランスを支えてくれている証拠です。

  2. 特別なことより「普通の生活」を大切に
    厳しい食事制限や激しい運動は必要ありません。バランスの良い食事と、心地よいと感じる程度の運動を、淡々と続けること。日々の小さな積み重ねが、長期的な体調の安定につながります。

  3. ご自身の体の「一番の専門家」になること
    日々の体調や体重の変化を簡単にメモしておくと、ご自身の体のリズムが見えてきます。その記録は、診察の際に私たち医師がより的確なアドバイスをするための、何より貴重な情報源になります。

医師と患者さんは、同じゴールを目指すチームです。私たちと二人三脚で、あなたらしい、生き生きとした毎日を送り続けていきましょう。

まとめ

今回は、食事制限をしても痩せない原因の一つ、橋本病(甲状腺機能低下症)について詳しく解説しました。

理由のわからない体重増加や倦怠感は、あなたの努力不足や気のせいではありません。それは、甲状腺ホルモンが不足している体からの大切なSOSサインかもしれません。

橋本病は、不足したホルモンをお薬で穏やかに補うことで、つらい症状を改善できる病気です。代謝が正常に戻れば、体重もコントロールしやすくなります。

もし「もしかして…」と心当たりがある方は、一人で抱え込まず、まずは気軽に内分泌内科へご相談ください。原因を知ることが、あなたらしい元気な毎日を取り戻すための、何より大切な第一歩になります。

この記事を書いた人

医療法人社団健楓会 統括責任者

小澤 剛史

医療法人社団健楓会 理事長 小澤 剛史
資格
日本糖尿病学会糖尿病内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医 他
プロフィール
東京医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院糖尿病センターや地域中核病院にて、高度かつ総合的な内科・糖尿病診療の研鑽を積んできた。 現在はせたがや仙川クリニックの統括責任者として、薬物療法だけでなく食事や生活背景まで考慮し、「長く安心して通えるかかりつけ医」として地域医療を支えている。
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