高脂血症(脂質異常症)とは?原因・検査値の見方・治療と改善方法を内科専門医が解説|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

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医療コラム

高脂血症(脂質異常症)とは?原因・検査値の見方・治療と改善方法を内科専門医が解説|調布市の仙川駅で糖尿病治療なら|せたがや仙川クリニック|糖尿病内科・甲状腺内科・内科・アレルギー科

高脂血症(脂質異常症)とは?原因・検査値の見方・治療と改善方法を内科専門医が解説

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健康診断で「コレステロールが高い」「中性脂肪が基準値超え」と指摘され、不安を感じていませんか。自覚症状がほとんどないため、「まだ大丈夫だろう」とつい後回しにしがちですが、その油断こそが最も危険なサインです。

脂質異常症は、あなたの体を静かに蝕む「サイレントキラー」。自覚症状がないまま血管の老化を進め、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった命を脅かす病気を引き起こします。この記事では、内科専門医が脂質異常症の本当のリスクから、検査値の正しい見方、明日からできる具体的な改善方法までを徹底解説します。

脂質異常症の基本と放置する本当のリスク

健康診断で「コレステロールが高い」「中性脂肪が基準値超え」と指摘され、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

脂質異常症は、自覚症状がほとんどないのが特徴です。そのため「まだ大丈夫だろう」と後回しにしがちです。しかし、この静かな病気は血管の老化(動脈硬化)を進めます。そしてある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こす「サイレントキラー」なのです。

まずはご自身の体の状態を正しく理解することが大切です。改善への第一歩を、私たちと一緒に踏み出しましょう。

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LDL(悪玉)・HDL(善玉)・中性脂肪(TG)の役割とバランスの重要性

血液中の脂質(あぶら)は、私たちの体に必要なものですが、そのバランスが崩れると健康を脅かす原因となります。特に重要なのが、以下の3つの脂質です。

  • LDL(悪玉)コレステロール  肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ「配達員」です。しかし、増えすぎると血管の壁にコレステロールを置き去りにし、動脈硬化の原因となってしまいます。
  • HDL(善玉)コレステロール  全身で余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す「回収業者」です。血管壁に溜まったコレステロールも掃除してくれるため、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
  • 中性脂肪(トリグリセリド)  体を動かすための主要な「エネルギー源」です。しかし、使い切れずに余ると皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されます。中性脂肪が増えすぎると、HDL(善玉)が減り、LDL(悪玉)がより小さく血管壁に入り込みやすい「超悪玉コレステロール」に変化しやすくなるため注意が必要です。

これらの数値は、どれか一つだけでなく全体のバランスが極めて重要です。

脂質の種類 主な役割 基準値(空腹時採血) 高い/低いとどうなる?
LDLコレステロール 全身へコレステロールを運ぶ 140mg/dL未満 動脈硬化を直接的に促進させる
HDLコレステロール 余分なコレステロールを回収 40mg/dL以上 動脈硬化が進みやすくなる
中性脂肪(TG) 体のエネルギー源になる 150mg/dL未満 動脈硬化を間接的に促進させる

なぜ症状がないのに危険?動脈硬化から心筋梗塞・脳梗塞へ至る仕組み

脂質異常症が「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれるのは、自覚症状がないまま血管の病気「動脈硬化」を進行させるからです。動脈硬化とは、血管が硬く、もろくなってしまう状態を指します。

動脈硬化が進行する仕組みは以下の通りです。

  1. 増えすぎたLDL(悪玉)コレステロールが、傷ついた血管の壁の内側に入り込む。
  2. 体の免疫細胞が、入り込んだLDLコレステロールを異物とみなし食べる。
  3. コレステロールを飽食した免疫細胞は、プラークと呼ばれるお粥のようなドロドロの塊になる。
  4. プラークが血管内に溜まっていくと、血液の通り道が狭くなり、血流が悪くなる(狭心症など)。
  5. 何かのきっかけでプラークが破れると、傷を治すために血の塊(血栓)ができる。
  6. この血栓が血管を完全に塞ぐと、その先に血液が届かなくなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす。

このように、症状がないからと放置している間に、命に関わる事態を招く危険性があります。

最近の研究では、中性脂肪と血糖値を組み合わせた指標「TyGインデックス」が高いと、心筋梗塞などの心血管イベントのリスクが高まることも報告されています。これは、脂質と糖の両面から体を管理することの重要性を示しています。

食生活だけではない?遺伝・加齢・他の病気が隠れた原因になることも

「脂質異常症は食べ過ぎや運動不足が原因」と思われがちですが、原因はそれだけではありません。生活習慣に気をつけても数値が改善しない場合、他の要因が隠れている可能性があります。

  • 遺伝的な要因  「家族性高コレステロール血症」のように、生まれつきLDLコレステロールをうまく処理できない体質の方もいます。ご家族にコレステロールが高い方や、若くして心筋梗塞などを起こした方がいる場合は特に注意が必要です。
  • 他の病気の影響  糖尿病、甲状腺機能低下症、腎臓病などが原因で、脂質代謝に異常が起きることがあります。特に糖尿病は脂質異常症を合併しやすく、両方が動脈硬化を強力に進行させてしまいます。研究によっては、2型糖尿病の患者さんで、特定のハーブ(フェヌグリークなど)が血糖値だけでなく、コレステロールや中性脂肪の改善にも役立つ可能性が示されています。
  • 加齢や性別の影響  年齢とともに基礎代謝は低下し、脂質が体に溜まりやすくなります。特に女性は、閉経後に女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減ることで、LDLコレステロール値が上昇しやすくなる傾向があります。
  • 薬の副作用  治療中の病気によっては、特定の薬(ステロイド剤など)の長期使用が原因となることもあります。
  • 東洋医学的なアプローチ  治療は生活習慣の改善や西洋薬が中心ですが、体質改善を目的に漢方薬が併用されることもあります。炎症を抑え血中脂質を改善する効果などが研究されており、選択肢の一つとして考えられます。

痩せている人や若者でも注意が必要な「かくれ脂質異常症」とは

脂質異常症は、肥満体型の中高年の方だけの病気ではありません。痩せている方や若い方でも、血液中の脂質バランスが乱れている「かくれ脂質異常症」の可能性は十分にあります。

以下のような方は特に注意が必要です。

  • 食生活の偏りがある  体型はスリムでも、お菓子やジュース、菓子パンを頻繁に摂取する方。あるいは、揚げ物やラーメンなど脂質の多い食事が好きな方は、中性脂肪やコレステロールが高くなりやすいです。
  • 運動習慣がない  デスクワークが中心で、日常生活での活動量も少ない方。エネルギー消費が少ないため、脂質が体内に蓄積しやすくなります。筋肉量が少ないと基礎代謝も低くなるため、注意が必要です。
  • ストレスや不規則な生活  過度なストレスや睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れを引き起こします。その結果、脂質代謝に悪影響を及ぼすことがあります。
  • 喫煙や過度な飲酒  喫煙はHDL(善玉)コレステロールを減らし、動脈硬化を促進させます。また、アルコールの飲み過ぎは中性脂肪を増やす直接的な原因になります。

見た目では判断できないからこそ、年齢や体型に関わらず、定期的に健康診断を受けることが何よりも大切です。もし異常を指摘されたら、決して放置せずに専門医に相談してください。

健康診断結果の正しい見方と受診すべきタイミング

健康診断の結果が届き、「脂質」の項目に「C判定」や「要精密検査」と書かれていると、ドキッとしますよね。特に自覚症状がないため「まだ大丈夫だろう」と後回しにしてしまうかもしれません。

しかし、その数値はあなたの血管が静かにあげている悲鳴のサインなのです。脂質異常症は症状がないまま進行し、ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気を引き起こします。

まずはご自身の検査結果が持つ意味を正しく理解することが大切です。そして、適切なタイミングで専門家へ相談することが、未来の健康を守るための最も重要な第一歩となります。一緒に結果を読み解き、不安を安心に変えていきましょう。

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LDL, HDL, TG, non-HDLコレステロールの基準値一覧と意味の解説

健康診断の結果票には、LDL、HDL、TG(中性脂肪)といった専門用語が並んでいます。それぞれの役割と基準値を知ることが、ご自身の状態を理解する第一歩です。

  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)  肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ「配達人」です。しかし、増えすぎると血管の壁にコレステロールを置き去りにし、動脈硬化(血管が硬く狭くなること)の直接的な原因になります。
  • HDLコレステロール(善玉コレステロール)  全身で余ったコレステロールを回収して肝臓に戻す「回収人」です。血管の壁に溜まったコレステロールも掃除してくれるため、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
  • TG(トリグリセライド:中性脂肪)  体を動かすための大切なエネルギー源です。しかし、使い切れずに余ると皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられます。増えすぎるとHDLを減らし、LDLをより質の悪い「超悪玉コレステロール」に変えてしまうため注意が必要です。
  • non-HDLコレステロール  総コレステロールからHDLコレステロールを引いた数値です。つまり、LDLコレステロールを含む「すべての悪玉コレステロール」の総量を表します。動脈硬化を引き起こすコレステロール全体を評価できるため、近年とても重要視されています。
脂質の種類 基準値(空腹時採血) この基準を超えると診断される病名
LDLコレステロール 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40mg/dL未満 低HDLコレステロール血症
TG(中性脂肪) 150mg/dL以上 高トリグリセライド血症
non-HDLコレステロール 170mg/dL以上 高non-HDLコレステロール血症

特に糖尿病をお持ちの方は、脂質のバランスが崩れやすくなります。実際に、糖尿病の補完療法として用いられることがある特定のハーブ(フェヌグリーク)が、血糖値だけでなく総コレステロールや中性脂肪、HDLコレステロールの値も改善させることが研究で報告されています。このように、他の病気と脂質は密接に関係しているのです。

「要精密検査」「要治療」と指摘されたら?まず何科を受診すべきか

健康診断で「要精密検査」や「要治療」と指摘されたら、それは「専門家による詳しいチェックが必要です」という体からの大切なメッセージです。自覚症状がないからと放置せず、必ず医療機関を受診してください。

では、何科を受診すればよいのでしょうか。

  • まずは「内科」か「かかりつけ医」へ  最も身近な相談窓口です。お近くの内科クリニックや、いつも診てもらっている先生に、まずは健康診断の結果票を持って相談しましょう。基本的な診察や血液検査の再検査を行い、今後の治療方針を決めてくれます。
  • より専門的な診療科  状況によっては、さらに専門的な診療科への受診が望ましい場合もあります。
    • 循環器内科  すでに胸の痛みがある、動脈硬化がかなり進んでいる、心臓病のリスクが特に高い場合などに適しています。
    • 糖尿病・内分泌内科  糖尿病や甲状腺の病気などが、脂質異常症の原因となっている可能性があります。当院のような専門科では、血糖と脂質の両方を総合的に管理することを得意としています。

どの科を受診すべきか迷った場合は、まずはお近くの内科にご相談ください。受診の際は、以下のものを持参すると診察がスムーズに進みます。

  • 健康診断の結果票(過去数年分あると望ましいです)
  • お薬手帳(現在服用中の薬がわかるもの)
  • 保険証

病院ではどのような精密検査を行うのか?初診の流れと費用

「病院ではどんなことをされるのだろう」と不安に思う方もいるかもしれません。初診時の一般的な流れと費用の目安を知っておくと、安心して受診できます。

【初診の基本的な流れ】

  1. 問診  医師が生活習慣(食事、運動、飲酒、喫煙)、これまでの病気、ご家族の病歴(特に心筋梗塞や脳梗塞になった方がいるか)、自覚症状などについて詳しくお話を伺います。
  2. 身体診察  血圧や体重の測定、聴診などを行います。まれに、アキレス腱が太くなっていないかなど、遺伝的な要因がないかを確認することもあります。
  3. 血液検査  健康診断の結果が正確かを確認するため、再度採血を行います。脂質の数値だけでなく、糖尿病の有無(血糖値やHbA1c)、肝臓や腎臓の機能なども一緒に調べることが一般的です。
  4. 動脈硬化の検査(必要に応じて)  血管の状態をより詳しく調べるために、以下のような検査を行うことがあります。
    • 頸動脈エコー:首の血管に超音波をあて、血管の壁の厚さや詰まり具合を直接観察します。
    • CAVI(キャビィ)検査:血圧測定と同じような感覚で、血管の硬さ(血管年齢)を調べます。

脂質異常症は、他の病気が原因で起こることもあります。例えば、妊娠中に血圧が高くなる妊娠高血圧症では、脂質のバランスも悪化しがちです。ある研究では、適切な血圧治療を行うことで、血圧だけでなくHDL(善玉)を増やし、LDL(悪玉)や中性脂肪を減らす効果も確認されました。このように、精密検査では脂質の数値だけでなく、その背景にある原因を探ることも重要な目的となります。

【費用の目安】 保険診療(3割負担)の場合、初診料と血液検査で3,000円〜5,000円程度が目安です。頸動脈エコーなどの追加検査を行う場合は、さらに数千円が必要になることがあります。

診断後の治療目標の立て方|医師と共有し納得して治療を進めるコツ

脂質異常症の治療目標は、すべての人で同じではありません。年齢、性別、喫煙の有無、高血圧や糖尿病といった他の病気の有無などを総合的に評価し、あなたに合った目標値を設定します。これを「リスク管理」と呼びます。

リスク区分 主な対象者 LDLコレステロールの管理目標値
低リスク 心筋梗塞などのリスク因子がほとんどない方 160mg/dL未満
中リスク 高血圧、喫煙などリスク因子が複数ある方 140mg/dL未満
高リスク 糖尿病、慢性腎臓病、脳梗塞の既往がある方 120mg/dL未満
二次予防 すでに心筋梗塞などを起こしたことがある方 100mg/dL未満(より厳しい目標70mg/dL未満を目指すことも)

治療は医師が一方的に決めるものではなく、あなたと医師が協力して進めていくものです。納得して治療に取り組むために、以下の点を意識してみてください。

  • 自分のリスクを質問する  「先生、私の場合は将来どのくらい心筋梗塞のリスクがありますか?」「なぜこの数値を目標にするのですか?」と聞いてみましょう。自分の状態を理解することが第一歩です。
  • 自分の考えを伝える  「まずは3ヶ月、食事と運動で頑張りたいです」「仕事が忙しいのですが、どんなことから始められますか?」など、あなたの状況や希望を率直に伝えてください。
  • 薬への不安も相談する  「薬を一度始めたら、一生やめられないのでしょうか?」「副作用が心配です」といった不安や疑問は、遠慮なく質問しましょう。
  • 具体的なゴールを共有する  数値を下げるだけでなく、「10年後も元気に旅行がしたい」「孫の成長を長く見守りたい」といった、あなたの人生における目標を共有することで、治療への意欲も高まります。

あなたに合った治療計画を一緒に立て、二人三脚で健康な未来を目指していきましょう。

明日からできる生活習慣の改善と薬物治療の考え方

健康診断で脂質の異常を指摘され、「何から始めたら良いかわからない」「このままだとどうなるのだろう」と、戸惑いや不安を感じていらっしゃるかもしれません。そのお気持ちは非常によくわかります。

しかし、ご安心ください。脂質異常症は、日々の生活習慣を見直すことで十分に改善が期待できる病気です。治療の主役は、あなたご自身の生活の中にあります。食事や運動といった日々の選択が、未来の血管の健康を創るのです。

薬物治療は、あくまでその努力を後押しするための「頼もしいサポーター」です。決して怖いものではなく、必要な時に適切に使うことで、心筋梗梗塞や脳梗梗塞のリスクを大きく減らすことができます。

この先、一緒に具体的な改善方法と、お薬との上手な付き合い方について見ていきましょう。一人で悩まず、私たち専門家と一緒に、着実な一歩を踏み出しましょう。

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コレステロール・中性脂肪を下げる食事療法の基本「何を減らし、何を増やすか」

食事療法は、脂質異常症を改善するための土台であり、最も重要な治療法です。難しく考えず、「何を体から遠ざけ、何と仲良くするか」という視点で、毎日の食卓を見直してみましょう。

【減らすべきもの:血管の渋滞を引き起こす食品】 以下の食品は、摂りすぎると血液をドロドロにし、血管の壁を傷つける原因となります。

  • 飽和脂肪酸  LDL(悪玉)コレステロールを増やす最大の原因です。肝臓でのコレステロール合成を活発にしてしまいます。
    • 多く含まれる食品: 肉の脂身(バラ肉、ひき肉)、バター、ラード、生クリーム、チーズ、パーム油(加工食品に含まれる)
  • トランス脂肪酸  LDLコレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすという、最も避けたい油です。
    • 多く含まれる食品: マーガリン、ショートニング、これらを使ったパンやお菓子、ファストフードの揚げ物
  • 糖質(特に精製されたものや果糖)  摂りすぎた糖質は、体内で中性脂肪に変換されます。特に、清涼飲料水や菓子類に含まれる「果糖ブドウ糖液糖」は吸収が速く、中性脂肪を急激に上げやすいので注意が必要です。
    • 注意したい食品: 砂糖入りの飲料、お菓子、菓子パン、白米やパン、麺類の重ね食べ(例:ラーメンとライス)

【増やすべきもの:血管のお掃除をしてくれる食品】 体に良い働きをする栄養素を積極的に取り入れ、血管をきれいに保ちましょう。

  • 不飽和脂肪酸  血液をサラサラにし、LDLコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。特に青魚に含まれるEPAやDHAは効果的です。
    • 多く含まれる食品: 青魚(サバ、イワシ、アジ)、オリーブオイル、アボカド、くるみなどのナッツ類
  • 水溶性食物繊維  腸内でコレステロールの吸収を穏やかにし、体外への排出を促してくれます。
    • 多く含まれる食品: 海藻類(わかめ、昆布)、きのこ類、大麦(もち麦)、ごぼう、オクラ
  • 大豆製品  大豆に含まれるたんぱく質には、血中のコレステロールを下げる効果が期待できます。
    • 多く含まれる食品: 豆腐、納豆、豆乳、おから

まずは「夕食の主菜を肉から魚に変える」「おやつのスナック菓子を素焼きのナッツにしてみる」など、できそうなことから始めてみませんか。

外食・コンビニ食が多い人向けメニューの選び方と実践テクニック

お仕事の都合などで、外食やコンビニ食が中心になる方も多いと思います。そんな中でも、選び方を少し工夫するだけで、脂質管理は十分に可能です。諦める必要は全くありません。

【外食・中食でのメニュー選び 3つの鉄則】

  1. 「定食スタイル」を選ぶ  主食・主菜・副菜が揃った定食は栄養バランスが整いやすいです。ラーメンや丼もの、パスタなどの単品メニューは、脂質や糖質に偏りがちなので、選ぶ際は野菜の小鉢を追加しましょう。
  2. 調理法で選ぶ  「揚げる < 炒める < 焼く < 煮る・蒸す」の順に、油の使用量が少なくなります。例えば、唐揚げよりは生姜焼き、生姜焼きよりは焼き魚を選ぶのが賢い選択です。
  3. 「ベジファースト」を徹底する  食事の最初に、サラダやおひたし、味噌汁の具(野菜や海藻)から食べ始めましょう。食物繊維が血糖値の急上昇を抑え、脂質の吸収も穏やかにしてくれます。

【シーン別・賢い選択肢の具体例】

シーン こちらを選ぼう◎ なるべく避けたい△
コンビニ 幕の内弁当、もち麦おにぎり、サラダチキン、ゆで卵、海藻サラダ カツ丼、チャーハン、菓子パン、フライドチキン、ポテトサラダ
ラーメン屋 チャーシュー麺よりは野菜たっぷりタンメン、トッピングにワカメやメンマを追加、スープは残す チャーハンセット、こってり系のラーメン
居酒屋 枝豆、冷奴、刺身、焼き鳥(塩)、サラダ 鶏の唐揚げ、ポテトフライ、もつ煮込み

まずはいつものランチで、揚げ物を焼き魚に変えることから試してみてください。ドレッシングをノンオイルにする、カツの衣を少し残すといった小さな工夫も、続ければ大きな差になります。

忙しい人でも継続可能|効果的な運動療法の種類・頻度・時間

食事と並ぶ治療の両輪が運動療法です。運動には中性脂肪を直接減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす素晴らしい効果があります。「忙しくて運動する時間なんてない」と感じるかもしれませんが、特別な時間を設けなくても大丈夫です。

【運動療法のポイント】

  • 運動の種類  おすすめは、体内に酸素を取り込みながら行う「有酸素運動」です。ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などが効果的です。
  • 運動の強さの目安  「少し息が弾むけれど、隣の人と会話はできる」くらいが、脂肪燃焼に最も効率的な「中強度」の運動です。
  • 運動の頻度と時間  理想は「1回30分以上の運動を週に3日以上」ですが、まとめて時間を取れなくても問題ありません。**「10分の運動を1日3回」**に分けても、効果は同等であることがわかっています。

【日常生活に運動を組み込むコツ】 運動を「特別なイベント」と考えず、生活の一部にしてしまうのが継続の秘訣です。

  • 通勤・移動中に  一駅手前で降りて歩く、エレベーターやエスカレーターを階段に変える。
  • 仕事の合間に  昼休みに少し散歩する、デスクワーク中に時々立ってストレッチする。
  • 自宅で「ながら運動」  テレビを見ながら足踏みやその場ジョギングをする、歯磨きをしながらかかとの上げ下げをする。

このような日常生活でのこまめな活動(NEAT:非運動性熱産生)を増やすだけでも、エネルギー消費量は大きく変わります。まずは「今より10分多く体を動かす」ことを目標にしてみましょう。

薬はいつから必要?スタチン系薬剤の効果・副作用とやめられる可能性

食事や運動を数ヶ月続けても数値が目標に届かない場合や、もともとのリスクが高い方には、薬物治療をご提案します。「薬を一度始めたらやめられないのでは?」という不安をお持ちの方も多いですが、まずは薬の役割を正しく理解することが大切です。

【薬物治療を検討するタイミング】

  • 生活習慣の改善を続けても、個々のリスクに応じたLDLコレステロールの目標値に達しない場合。
  • 遺伝的な要因(家族性高コレステロール血症など)で、もともとの数値が極めて高い場合。
  • すでに心筋梗塞や脳梗塞を起こしたことがある方や、糖尿病や高血圧などを合併し、将来の動脈硬化性疾患のリスクが非常に高いと判断された場合。

【代表的なお薬「スタチン」との付き合い方】

  • 効果  脂質異常症の治療で最も中心的な役割を果たすのが「スタチン」というお薬です。主に肝臓でコレステロールが作られるのを抑える働きがあります。スタチンは、数ある脂質異常症治療薬の中でも、特に心筋梗塞などの冠動脈疾患がある方の生存率を改善することが多くの研究で示されている、非常に重要なお薬です。
  • 用量の考え方  スタチンは「量を増やせば増やすほど良い」というわけではありません。研究では、中程度の用量で死亡率を低下させる効果が最も大きく得られることが示されています。用量をそれ以上に増やしても効果の伸びは緩やかになる一方で、副作用のリスクが高まることがあります。そのため、私たち医師は、患者さん一人ひとりの状態を見極め、効果と安全性のバランスが最も良いと考えられる用量を慎重に選択しています。
  • 副作用  頻度は高くありませんが、筋肉の痛みやこわばり、まれに肝機能障害などが起こることがあります。何か気になる症状が出た場合は、ご自身の判断でお薬をやめてしまわず、必ず主治医にご相談ください。
  • やめられる可能性  お薬は、あくまで生活習慣改善という土台を支えるためのものです。あなたの努力で食事や運動習慣が身につき、脂質の数値が安定すれば、医師の判断のもとでお薬を減らしたり、中止したりできる可能性は十分にあります。

例えば、妊娠高血圧症の患者さんにおいて、血圧の治療を行うことで脂質のバランスも改善したという研究報告もあります。このように、体は互いに影響し合っています。薬だけに頼るのではなく、生活習慣という根本を整えることが、様々な健康指標を良くする一番の近道なのです。お薬と上手に付き合いながら、一緒に健康な未来を目指していきましょう。

まとめ

今回は、高脂血症(脂質異常症)の原因から改善方法までを詳しく解説しました。

この病気の本当の怖さは、自覚症状がないまま静かに進行し、ある日突然、心筋梗梗塞や脳梗塞といった命に関わる事態を引き起こす「サイレントキラー」である点です。

しかし、過度に恐れる必要はありません。脂質異常症は、食事で摂る脂の種類を選び、日々の生活に少しの運動を取り入れるなど、あなた自身の生活習慣の見直しで十分に改善が期待できる病気です。お薬は、その努力を支える心強い味方になります。

健康診断で異常を指摘された方は、決して放置せず、まずはかかりつけ医や内科へご相談ください。未来の健康のために、今日からできる小さな一歩を私たちと一緒に踏み出しましょう。

参考文献

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  3. Dimmitt SB, Stampfer HG, Kennedy MC and Martin JH. “Rethinking Statin Dosage in Coronary Disease.” Pharmacology research & perspectives 14, no. 1 (2026): e70187.
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この記事を書いた人

医療法人社団健楓会 統括責任者

小澤 剛史

医療法人社団健楓会 理事長 小澤 剛史
資格
日本糖尿病学会糖尿病内科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医 他
プロフィール
東京医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学病院糖尿病センターや地域中核病院にて、高度かつ総合的な内科・糖尿病診療の研鑽を積んできた。 現在はせたがや仙川クリニックの統括責任者として、薬物療法だけでなく食事や生活背景まで考慮し、「長く安心して通えるかかりつけ医」として地域医療を支えている。
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